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わが闘争 〈下〉Ⅱ 国家社会主義運動 [ナチ/ヒトラー]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アドルフ・ヒトラー著の「わが闘争 〈下〉」を読破しました。

ヒトラーの冗長な語り口に負け、何度か落ちてしまった500ページ超えの上巻
この下巻はページ数も若干少なくて、すでに半分を過ぎたことを実感しています。
amazonでは上巻が506ページ、下巻が418ページと書かれてますが、
実際は554ベージと462ページであり、100ページ弱の増量サービスとなっております。
これは・・、嬉しいような嬉しくないような・・。

わが闘争 下.jpg

さて、上巻では「アーリア人種」というナチスお得意のワードがありましたが、
下巻で早々に出てきたナチス・ワードは「ゲルマン化」です。
青年時代に「スラブ民族のゲルマン化」という話を聞いていたヒトラー。
しかし、土地についてそれはできるが、人間に対してはありえないと説明します。
「ニグロや中国人がドイツ語を覚えてドイツ語を話し、ドイツの政党に投票するからといって、
彼らがゲルマン民族になるなどということは、ほとんど理解しがたい。
こういうゲルマン化は実際には、悪ゲルマン化である・・」。

そして子供が民族の最も貴重な財宝である・・として、留意事項を述べます。
「ただ健全である者だけが、子供を生むべきで、
自分が病身であり欠陥があるにもかかわらず、子供をつくることは、ただ恥辱であり、
むしろ生むことを断念することが、最高の名誉である。
国家は最新の医療的手段を用いるべきであり、明らかに病気を持つ者や、
悪質の遺伝のある者、さらに負担になる者は、生殖不能と宣告し、
そしてこれを実際に実施すべきである」。
愛と欲望のナチズム」でもこのあたり、抜粋されてましたね。 

Nazi Mother & Child 1944.jpg

続いて子供の教育へと進みます。
「国家は何よりも、部屋の中にばかりにいるような世代が作られないように配慮しなければ・・」。
う~む。。なんでしょうねぇ。。こういうドキッとするような感覚・・。
そこで身体的鍛錬、すなわちスポーツを取り上げて、なかでもボクシングを推奨します。
「教養のある人々はフェンシングで決闘して歩くのは当然であり、名誉なことだと考えている。
しかしボクシングをすると、それが粗暴だとは! なぜだ?
これぐらい攻撃精神を助長し、電光石火の決断力を必要とし、
肉体を鋼鉄のように鍛えるスポーツはない」。
確かに映画「ナポラ」でも、まずはボクシングをやってましたか。

Hitler-Jugend boxing.jpg

学校を卒業しても青少年には身体的な発育を伸ばすような配慮が必要として、
後の兵役の準備教育たりうる訓練を国家の施設において行うことで、
非の打ちどころがない若人が新兵として入営することになる・・と、
まだ具体案のないこの件は、「国家労働奉仕団(RAD)」として確立するんですね。

RAD nrnberg1937.jpg

ヒトラーの考えるカトリック教会というのは、なかなか複雑だと思っていました。
本書では所々に登場し、ある程度、肯定的に書かれていますが、
カトリック教徒として育ったヒトラーは、国民には宗教として必要と認めるものの、
その巨大な組織の影響力には不安を持っていたのではないでしょうか。
ナチ党でのカトリック排除派はヒムラーボルマンで、何度もヒトラーを説得したようですが、
戦争が終わったら考えよう・・という立場だったと思います。

また、貴族といった特権階級についても、はぐらかしているように感じますし、
マルクス主義を比較として持ち出しているだけに、
貴族、宗教を追放したソ連と同じことをやるわけにはいかない・・と考えたのかも知れません。

Adolf Hitler mit Kronprinz Wilhelm von Preußen am Tag von Potsdam.jpg

ナチスとキリスト教の関係は、戦犯を南米へ逃亡させたヴァチカン・ルートも良く聞くように、
良い関係だったのではないか?? とも推測されています。
ちなみに、そんなことを表現しているとする有名な写真があります。
ドイツの司祭が「ナチ式敬礼」 ↓ をしているとされる写真です。

Young Joseph Ratzinger - NAZI SALUTE!!!.jpg

しかし、この写真・・、かなり悪意を持たされた写真なんですよねぇ。
実際は両手を前に突き出したポーズであり、わざと邪魔な左手がカットされているのです。
しかもこの若い司祭、前のローマ法王、ベネディクト16世というオマケ付き。。
ついでに言えば、1927年バイエルン生まれの彼が司祭になったのは戦後のことです。

ratzinger_bros_ordination.jpg

ソ連も粛清されたエジョフを写真から消したり・・と政府による偽造写真は多いですが、
ナチス関係の捏造写真もかなり出回っているので、注意が必要です。
女性パルチザンの死体のそばで、笑いながらポーズをとっているSS含むドイツ軍兵士の
鮮明な写真を見つけたら、ほとんど合成写真だと言っても良いでしょう。
特に最近はPCで加工・合成が簡単にできますからね。

Holocaust Fake.jpg

ドイツの市民権獲得の問題では、この当時の制度を熱く解説。
「ドイツ国内に住んでいるニグロが自分の子供を「ドイツ国家市民」として世に出す。
同じようにユダヤ人やポーランド人、アジア人種の子供は誰でも、
無造作にドイツ国家市民に登録されるのだ。
その際、人種を考慮することは、一般に問題にならない。
こやつが梅毒で腐っていようがいまいが、無害な政治的まぬけであれば、
自動車クラブに入会するのとたいした違いのない手続きで、
神さえもできないものを、州の首相が一瞬間にやってしまうのだ。
簡単にペン先で、蒙古人の小僧から突然、本当の「ドイツ人」ができあがるのだ」。

ベルリン戦争」でも、ソプラノ歌手の田中路子の結婚問題がありましたが、
このような外国人問題、帰化問題は、現在でも悩ましいところです。
ヨーロッパではEUとなって以降、複雑化してきていますし、
例えばサッカークラブでもスタメンに自国の選手が一人もいない・・なんて事態も起こっています。
W杯をご覧になった方もお分かりのように、ヨーロッパの代表チームでも
この20年で黒人選手が増えてきていて、日本でも大相撲に外国人が多くなって・・。
まぁ、人種差別のない世界を目指していても、メリットもあればデメリットもあるわけですが、
「在日○○人は出て行け!」などと極端なことを言っている方々は、
ヒトラーと同類だね・・と返されても反論できませんね。

formal Hitler.jpg

第7章は「赤色戦線との格闘」と題して、1920年からのビアホール集会でのバトルの数々・・。
野次と混乱によってナチ党集会を解散に追い込もうとするマルクス主義者に対抗するため、
「場内整理隊」をつくり、ヒトラーの元戦友や若い党員がその任に当たります。
後にコレが「ヒトラー警護隊」となり、「ライプシュタンダルテ」、
やがて武装SSへと発展していくわけですね。

Old Guard_Julius Schreck.jpg

そしてナチ党のシンボル、赤白黒のハーケンクロイツの旗の誕生へ・・。
当時のワイマール共和国は、名誉ある黒白赤の帝国国旗を使うことがなく、
ナチ党の運動も自己の失敗で没落した古いドイツを目覚めさせることは望まず、
あくまで新しい国家をつくること・・。

Deutsches Reich 1871 - 1918.jpg

そのような新しいシンボルに非常に頭を使い、あらゆる方面から提案されます。
「白は純潔な処女団体には似合うが、感動的な色ではなく、改革運動には合わない。
黒は現代に適しているが、そこには運動の意欲の説明的表示がない。
白・青は美的効果は素晴らしいものの、あるドイツの一連邦の色として、
評判の良くない分離主義的偏狭さという政治的立場を現しているために問題外」。。
この、あるドイツの一連邦とは、バイエルン州のことですね。
同じように黒・白も問題外だそうで、こちらはプロイセン州のことです。

Königreich Bayern_Königreich Preußen  Flagge.jpg

このような紆余曲折の末、ハーケンクロイツのデザインが完成しますが、
結局はヒトラーが兵士として神聖かつ、美的効果にピッタリだったという
帝国国旗の黒白赤の3色を使うことになるのでした。

Nazi-rally_1923.jpg

「突撃隊(SA)」についても詳しく書かれています。
この組織が「秘密結社」であってはならないとの理念から、
「隠れて集会してはならず、誰にでもわかる服装で、自由な大空の下に行進する」。
また、「軍隊的防衛的組織」でもあってはならないとして、
「肉体鍛錬は軍隊的錬兵ではなく、スポーツ活動にその主眼点はおかれる。
組織的な構成と服装・装備は旧軍隊の範に従わずに企画すべきである」と、
純粋な軍隊は「国防軍」だけ・・と認識しているあたりは、レームとの対立に繋がりそうですね。
SAが「ナチ党スポーツ部」とされていたり、SSにも引き継がれた
「なんちゃら上級指導者」という独特の階級と襟章も、この時点の定義のようです。

あぁ、いま思いましたが、ヒトラーは褐色の制服でも「襟章」ないんですねぇ。
1939年以降に着続けたグレーの軍服にも、襟章を付けていませんし、
この自分が定めた徽章、勲章は一切しないというコダワリは徹底しています。

hitler_SA.jpg

327ページからは第13章の「戦後のドイツ同盟政策」です。
ここまでのドイツ国内問題と、ナチ党の理想とする新しいドイツという視点とは少し変わった
いわゆる新たな外交政策で、第2次大戦好きはかなり盛り上がります。
まずは第1次大戦の勝利国である英国とフランスの状況について・・。

「今日のフランスは、軍事的には大陸において強力なライバルを持たぬ第一の強国である。
南の国境はスペインとイタリアに対して守備されているも同然の地形であり、
ドイツに対しては我が祖国の仮死状態によって、安全が保障されている。
海岸線の点では、英国の中核の前面に長い戦線を繰り広げているのである。
ただ飛行機や長距離砲に英国の生命中核が攻撃し甲斐のある目標となるばかりでなく、
Uボートの活動にとっても貿易の交通網は剥き出しであるといえよう。
大西洋に面した長い海岸線、地中海沿岸のヨーロッパ、北アフリカのフランス領の
海岸線を基地にして、Uボート戦をするならば、恐ろしい成果を上げるに違いない」。

いかがでしょう?
コレはあくまでフランスが英国に戦いを挑む場合をヒトラーが想定したものですが、
「飛行機」は電撃戦後のバトル・オブ・ブリテンであり、長距離砲は巨大な沿岸砲V-1、V-2
そして当然のフランス沿岸を基地としたドイツUボートによる通商破壊戦が行われるのです。

Ostsee, Germany, German submarines in a drill, July 1939..jpg

英国の願望は大陸の一強国(フランス)が法外な力を持つことを防止する点にあり、
片やフランスは自己のヨーロッパでの支配的立場を作り出すために、
ドイツが統一した強国を形成するのを防止しようとしている・・と分析した結果、
「ドイツにとっての同盟可能性は、ただ英国に依存することしか残っていない」。
つまり、英国にとってはフランスとドイツという2つの強国によってバランスが保たれることが、
自国の利になるとヒトラーは考えているのです。

Adolf Hitler 1922.jpg

しかし、そのような政治的視点だけでもないようなのがヒトラーの面白いところであり、
「ドイツ民族にとって仮借のない不倶戴天の敵は、いつの世もフランスである。
ブルボン王家だろうと、ナポレオン一族であろうと、赤いボルシェヴィストであろうと、
誰がフランスを支配してもまったく変わりはない」。
と、結局のところフランス嫌いなんですね。。
でもナポレオンは意外です。パリのお墓を訪れたりしてますからねぇ。
政治家としてではなく、軍人の立場として崇拝していたのかも知れません。
また、本書では述べていませんが、自称芸術家、自称建築家として、
芸術の都パリと、その建築物に思いを馳せていたようですから、
フランスに対する憎しみと憧れが表裏一体であったようにも感じます。

1944年8月に大パリ防衛司令官、フォン・コルティッツにパリ破壊命令を出し、
「いま、この瞬間、パリは燃えているのか?」と本当に言ったかどうかは良くわかりませんが、
迫る連合軍に対し、セーヌ川に架かる橋を爆破するのは軍事的に正しいとしても、
エッフェル塔に凱旋門、ルーヴルにノートルダムを破壊したところで何にもなりません。
もはや政治的、軍事的な観点での命令ではなく、
芸術家がヤケクソになって、自分の作品を焼いてしまおう・・というのに近い気がしますね。

hitler paris.jpg

フランスとユダヤ人の関係、英国とユダヤ人の関係について述べた後、
「日本とユダヤ人」について自説を展開します。

「ユダヤ人は1000年に渡る順応によってヨーロッパ民族を性格の失った雑種に養育することは
なるほどできるとしても、日本のようなアジア的国家主義国家に同じ運命を与えることは
ほとんどだめだということを充分知っている。
ユダヤ人はドイツ人、英国人、フランス人、米国人のふりをすることはできるが、
黄色いアジア人に通じる道は彼らに欠けている。
ユダヤ人は自分たちの至福千年帝国の中に、日本のような国家主義国家が残っているのを憚り、
自分自身の独裁が始められる前に、きっちり日本が絶滅されるよう願っているのである。
従って彼らは、以前にドイツに対してやったように、日本に対して諸民族を扇動しており、
英国の政治がなおも日本との同盟を頼りにしようと試みているのに、
英国のユダヤ人新聞は、すでにこの同盟国に対する戦争を要求し、
民主主義の宣伝と、『日本の軍国主義打倒と天皇制打倒!』のときの声の下に、
絶滅戦を準備するということも起こりうるのである」。

Ribbentrop, Kurusu, and Hitler negotiate the Tripartite Pact, 1940.jpg

日本を「国家主義国家」と表現していることから、
自分たちの運動である「国家社会主義」との類似性を意識しているように感じます。
また意外だったのは、ヒトラーの力説する「民族主義」という概念が、
植民地になったこともなく、独自の言語を話す日本人にとっては、
現在でも違和感なく、自然でわかりやすいということでしょう。
ただ、ヒトラーが「国家社会主義」と謳っていても「社会主義」は伝わってこないんですよね。

Propaganda Nazi Japanese Monster.jpg

ヒトラーの言う「世界の強国」という意味は、単に軍事的、経済的なことだけではありません。
英国本土は、全地表の1/4を自国の領土と呼びうる大英帝国の大首都に過ぎず、
アフリカを中心に植民地の多いフランスでさえ、有色人軍隊を大規模に増進、
ユダヤ人が金融力の支配者かつ、1億人の民衆の監督者の地位にある米国、
加えてその領土の大きさから、ロシア、中国を巨大な国家とみなしています。
となると、ドイツの面積などお笑い種のようで、それを解決するには
東方政策、すなわち生活圏のためのロシアの領土獲得が目的となるのです。

Anti-American, Anti-Jewish.jpg

「数百年来、ロシアはその上級の指導層にいたゲルマン民族的中核のおかげで存続してきた。
この中核は今日ではほとんど跡形もなく根絶され、抹消されたとみなすことができる。
その代わりにユダヤ人が登場した。
ユダヤ人自身は組織の構成分子ではなく、分解の酵素である」。
そうか・・、ニコライ2世はヴィルヘルム2世ジョージ5世と従兄弟同士なんでしたっけ。

さらに続きます。「東方の巨大な国は崩壊寸前である。
ロシアでのユダヤ人支配の終結は、国家としてのロシアの終結でもあるだろう。
我々は運命によって、民族主義的人種理論の正当さを極めて強力に裏書きするに違いない、
一大破局の目撃者となるよう選ばれている」。
いや~、まさに「バルバロッサ作戦」的思想です。

Der deutsche Kaiser Wilhelm II. mit seinem Cousin, dem russischen Zaren Nikolaus II.jpg

それでも、そんな「ロシアとドイツの同盟はどうか?」と検討するあたりが普通じゃありません。
「目下のロシアはその新しい支配者の内的な意図をまったく無視するとしても、
ドイツ国民の自由闘争にとって同盟国ではない。
純粋に軍事的に考えても、ドイツとロシアが西欧に対して、たぶん他の全世界を
相手にすることになろうが、戦争をする場合には、状況は正しく破滅的なものとなるのだろう。
戦争はロシアの土地ではなく、ドイツの大地で行われるに違いない。
そして、その際ドイツは、ロシアからほんの少しばかりも、有効な援助を受けることが
できないに違いない」。

このドイツ・ロシア同盟軍が、西側連合軍と戦う・・というヒトラーの妄想はさらに具体的に・・。
「次の戦争できっと圧倒的に勝敗を決するものとして現れてくるであろう、
世界の一般的モータリゼーション。ドイツ自体がこの最も重要な方面で不面目にも
立ち遅れているだけでなく、実際に走る自動車を生産し得る工場ひとつないような
ロシアをさらに守らなければならなくなるに違いない」。

sowjetische und deutsche Truppen j-Polen-1939-.jpg

この大妄想の結論は、第1次大戦をも超えるドイツの大敗北に終わるわけですが、
さすが、自動車化部隊の重要性を認識しているんですねぇ。
そして軍事的同盟以前に、ロシアとの同盟はあり得ないとまとめます。

「ロシアの今日の権力者は、誠実な態度で同盟に加わることはもとより、
さらにそれを維持することなど、ちっとも考えていない。
つまり、今日のロシアの統治者たちは血で汚れた下賤な犯罪者であること、
また、彼らは人間の屑であり、悲劇的な情況に恵まれて大国家を打倒し、
その指導者的なインテリ数百万を粗野な残忍さでもって惨殺し、根絶し、
残酷極まる暴政を行っていることを忘れてはならない」。

まだまだ、ロシアを完全に支配している国際主義的ユダヤ人が、
虚偽、欺瞞、強奪、横領の代表者としてこの世の中を生きており、
そんな奴らと同盟を結ぶなど狂気の沙汰である・・と言いたい放題です。

nazi_propaganda.jpg

それにしても、このボルシェヴィキ・ロシアを徹底的にこき下ろし、
英国との同盟を切実に願うヒトラー唯一の著作をスターリンも読んでいたでしょうが、
確かにチャーチルとヒトラーが繋がっているのでは?? 裏で手を繋ごうとしているのでは??
と、疑心暗鬼になってもしょうがない気がしますね。
今まで、スターリンの猜疑心の強さを笑っていましたが、コレは確かに・・。
そして、1939年の「独ソ不可侵条約」がドイツ国内、ナチ党員だけでなく、
全世界に大きなインパクトを与えたこともなるほど、頷けます。狂気の沙汰なんですね。

Adolf-Hitler-Speech-in-Brunswick-1931.jpg

ほとんど最後になってヒトラーが尊敬する人物について語ります。
「私は正直に告白するが、アルプス南方の偉人に対し、心の底からの驚嘆の念を抱いていた。
彼は自民族に対する激しい愛情から、イタリアの国内にいる敵を容認せず、
あらゆる方法を用いて彼らの絶滅に努力した。
ムッソリーニをこの地上の偉人の列に加わらせるものはなにかといえば、
それはイタリアをマルクシズムから救った決然たる態度に求められる」。

Adolf-Hitler-of-Germany-and-Benito-Mussolini-June-14-1934.jpg

上巻の最初にも書いたように、1924年に刑務所に入れられた地方政党の党首の考えとしては、
この当時から、かなりシッカリした目標を持っているなぁ・・という印象を持ちました。

もちろん、かなり極端で激しい論理もありますが、
最終的な結果を知っている人間が読むと、実現させたことも多く、
それを「予言的だ!」なんて書いてしまうと、五島勉チックになるので自粛・・。
だって本人がやったことですからね。

Ben Goto.jpg

でも1933年に政権を獲るまで、あるいは1939年に戦争が起こってしまうまでには、
政治家として、または人間として成長し、現実路線を歩んだことが理解できます。
支離滅裂でもなければ、狂人の論理とも思えない、
極端ではあるけれども一貫性があると言えるでしょう。
ただし、特に外交については判断を過ったことで、最終的には破滅に陥ったと・・。

Hitler Mesmorized the youth.jpg

もう少し総合的な感想を書くなら、政治家として冷静で先を読む目を持っていたとしても、
反ユダヤ、嫌フランスという感情が前面に出てしまったという印象も持ちました。
偉大な政治家を目指し、そのためには決して欲していなかったにもかかわらず、
結局、軍人としての欲望である、戦争という手段に訴えてしまった・・、
独裁政治を行う総統かつ、作戦レベルにまで細かく関与する最高司令官であるという
稀有な政治家と、熱い軍人魂が混在する2面性、そして芸術家肌の繊細さを持っていた
人間の崩壊が、そのままナチス・ドイツの興亡であったように思いました。

portrait_of_a_leader.jpg

ヒトラーの「わが闘争」の名の付いた本は他にも存在します。
本書と同じ角川文庫から2004年に出た、405ページの「続・わが闘争―生存圏と領土問題」。



そして成甲書房から同じ年に出たのが349ページの
「ヒトラー第二の書―自身が刊行を禁じた「続・わが闘争」」。
調べてみたところ、どちらも戦後に米国立公文書館で発見されたヒトラーの口述草稿のようで、
内容的には同じだと思います。訳者さんが違うので、その差はあるでしょうが・・。



それから出ました、「わが闘争 (まんがで読破) 」。
2008年の190ページの文庫で、表紙には「ヒトラー・作」って書かれています。
コレを読破した子供は思うでしょう。「ヒトラーってまんが書くのも上手いんだね!」



あとは、DVDとしても「我が闘争」がありました。
117 分のドキュメンタリーで、本書とは関係なく、あくまでヒトラーの生涯のようですね。
タイトルも「わが闘争」ではなく、「我が闘争」ですから別物扱いして欲しいのがわかります。
昨晩、偶然にもヒストリー・チャンネルでこれを放映したので録画しました。
気が付いたのは40分前・・。
ヒストリー・チャンネル、独破戦線が「わが闘争」やってんの知ってんのか??



さてさて、最後に独破戦線からお知らせがあります。
実は今回をもって「終了」となります。

ひょっとしたら、あるいは気が変わったら、そのうちに再開するかも知れませんし、
別の形のBlogとして再スタートすることがあるかも知れません。

人生何が起きるかわかりませんから、「完全終了」とは言いませんが、
一応、「終了」です。

5年間のご愛読、ありがとうございました。














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