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ヒトラー第四帝国の野望 [SS/ゲシュタポ]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

シドニー・D・カークパトリック著の「ヒトラー第四帝国の野望」を読破しました。

先日の「ナチス第三帝国辞典」で気になった、「アーネンエルベ協会」関連が書かれている
ということで、ついつい買ってしまった本書。タイトルがもう泣けますねぇ・・。
落合信彦が翻訳している「第四帝国」という本を2度挑戦しては、
あまりのツマラなさに尽く挫折しているヴィトゲンシュタインとって、
いまさら「第四帝国」っていう邦題はないだろうよ・・と考えます。。
原題は「ヒトラーの聖遺物」といった感じで、2010年発刊という新しいもの。
「ディスカバリー・チャンネル」や「ヒストリー・チャンネル」に携わる著者によるノンフィクションで、
ナチス・ドイツによってウィーンからニュルンベルクに移された、神聖ローマ帝国の
貴重なお宝を探し出すべく、ドイツ人美術史学者である米陸軍中尉の活躍を描きます。

ヒトラー第四帝国の野望.jpg

パットンの米第3軍の尋問官である36歳のウォルター・ホーン中尉。
彼は1945年2月、ニュルンベルクで徴募され、わずか1ヶ月の訓練でバルジの戦いに投入された
老齢の2等兵の尋問を行い、思いがけない話を聞き出します。
それはニュルンベルク城の地下壕に隠された財宝がある・・というもので、
入口は旧市街の骨董品店に見せかけており、家族がそこに住んで、空調管理などを
行っていることから、噂話ではない、非常に詳細な情報を聞き出すことが出来たのでした。

神聖ローマ皇帝、バルバロッサ王フリードリヒ一世の宝珠や「ロンギヌスの槍」、
「マウリティウス刀」といった伝説的な人工遺物が隠されているとの話に
美術史学者であるホーン中尉も興奮し、早速、報告書をまとめて提出します。
しかし、彼の仕事は尋問であり、5月の終戦後もペンキ屋に化けて逃走していたシュトライヒャー
医師に化けていたカルテンブルンナーといったナチの大物たちの尋問に多忙の日々。。

streicher_kaltenbrunner.jpg

そして7月に突然、呼び出しを受け、MFAA(歴史的建造物・美術・文書)班に配属され、
ホーンの報告書によって発見された地下壕の調査を任命されますが、
極めて重要な遺物である、帝冠、宝珠、笏、皇帝の剣、儀式用の剣が姿を消しているとのこと・・。
さらにこの任務はアイゼンハワー直々の命令というおまけ付きです。
ということで、この消えたお宝を3週間で探し出すこととなったホーン中尉の謎解きと
10年前に亡命した祖国の旅が始まるわけですが、
本書はミステリー小説のような雰囲気なので、細かい展開は割愛します。

Reichsinsignien.jpg

ニュルンベルクの地下壕では「ロンギヌスの槍」と呼ばれる、十字架のキリストの死を確認するため、
わき腹を刺したという「聖槍」も発見しますが、その貴重性をわからず手荒に扱う同僚に対して、
ホーンはそれが如何なる物かを説明します。
本書ではこのような展開で、ヴィトゲンシュタインのように聖遺物に明るくない読者にも
知識を与え、そしてまた、彼のミッションの重要性も理解しながら、クライマックスへ進んでいく・・
ということに成功しています。
「ロンギヌスの槍」ってどこかで聞いたことがあったと思ったら、
「ヒトラーとロンギヌスの槍」という本がありましたね。でもコレは・・?

Angelico_Holy Lance.jpg

そしてニュルンベルクから運び去られた、神聖ローマ帝国の5つの宝物。
元々、帝都ニュルンベルクに皇帝命令により未来永劫保管されるはずであったものの、
ナポレオンの手に落ちるのを恐れて、市の長老たちがウィーンに移したという経緯も語られ、
オーストリアを併合したヒトラーがそれをまた、ニュルンベルクに移したということは、
ヒトラーとニュルンベルク市からしてみれば「奪還」であり、
オーストリアと連合軍からしてみれば「強奪」と解釈も違います。

本書の真ん中には関連する当時の写真が掲載されており、
1938年に聖カタリーナ教会で宝玉を見るヒトラーの写真や
ニュルンベルクの地下壕にはSS警護の詰所、そして彫像の残る保管庫の写真もしっかりと。

Adolf Hitler besichtigt die in Nürnberg ausgestellten Reichskleinodien, hier die Kaiserkrone.jpg

特に「エクステルンシュタイネ」という天文学的な位置関係によって作られた岩の聖地・・、
キリスト教伝来以前からゲルマン人の聖地として信仰されていた場所を視察する
ヒムラー一行の写真やらが印象的でした。
これは後のキリスト教時代にレリーフが彫られ、岩をくりぬいて礼拝堂を作って
修道士が洞窟に住んだりと、ちょっと調べてみましたが、一時、寂れていたこの場所も
ヒムラーが興味を示したおかげで脚光を浴び、今では、有名な観光地なんだそうです。

Externsteine.jpg

5つの宝物の行方を追ううちに、ヒムラーが設立したその「アーネンエルベ協会」も紹介。
ドイツ人の先祖であるアーリア人の偉業を発見し、教育、雑誌、論文、書籍の発行といった
研究結果を大衆に伝えることを目的とする、必要不可欠な仕事であって
軍役を避けたい学者や知識人にとっては実に魅力的だったそうです。
ヒムラーはキリストがアーリア人の血を引いていたことを証明するため、中東まで調査隊を派遣し、
トルコのカッパドキアや、スペインにも聖杯を探すために、
さらにアーリア人の足跡を探すべくチベットに南極まで・・。

Wewelsburg_5.jpg

ヒムラーがSSの聖地にしようとしていたヴェーヴェルスブルク城も訪れることになります。
連合軍が迫るなか、ゲーリングカリンハルと同様に爆破しようとしたヒムラーですが、
爆薬の量が少なすぎて失敗・・。
このヒムラーのお城で起こった逸話もいくつか紹介しながら、城内を案内してくれます。
人工遺跡や複製が並べられていた展示室、結婚式も行われた大会堂、
円棟はがらんとした、だだっ広い部屋で、床には大理石を象嵌した太陽が描かれています。
そしてココに丸い机の12脚の椅子を配して、アーサー王の円卓の騎士を意識していたというのは
なにかで読んだ話ですねぇ。

wewelsburg_3.jpg

また、ヒムラーの金庫も発見しますが、たいしたものはなく、
戦死したSS隊員の髑髏リングをココに入れていたという解説もありました。
この髑髏リングはこの城の近くに埋められたという話もありますが、
いまだに見つかっていないようです。

Totenkopfring.jpg

こうして戦争末期、この城のお宝を含め、膨大な第三帝国の貴重な財宝や金塊などが
各地に隠匿されることになるわけですが、ヒムラーの命令によりこれを首尾よく実行したのが、
RSHA第Ⅱ局長官のヨーゼフ・スパシルという「ヒムラーの金庫番」だそうです。
捕虜収容所で身元がばれて、証言したとおり、彼が隠した金の延べ棒19袋などが見つかりますが、
ジープの操縦をミスった米情報将校が大怪我・・。彼の身体には札束と指輪、
時計にダイヤモンドを散りばめた十字架が・・。
他にも強欲な米兵の例も挙げられていて、ゲーリングの奥さんを騙して国家元帥の
最上の制服一式を預かり、豪華な短剣を売りさばいて、テキサスに土地買ったなど・・。
主人公のホーンは誰も信用できないんですね。

Josef Spacil.jpg

出だしこそオーストリアを併合後、すぐにウィーンから神聖ローマ帝国の宝物を
ナチ党の聖地であるニュルンベルクに移すなど、ヒトラーが第三帝国の重要なもの・・
と考えていたというのは理解できますが、終戦間際に
これらを隠して連合軍の手に渡らせないようにとヒトラーが指示し、
来るべき「第四帝国」の遺産と考えていたとはとても思えません。

結局のところ、本書でもヒムラーとSS、お宝を守るドイツ騎士団・・といった連中が
金塊に偽札なども含めて、隠そうと奔走した・・というところであり、
まぁ邦題の「ヒトラー第四帝国の野望」などというものではありませんでした。
万が一、このタイトルの内容を期待して読まれた方なら、ちょっと拍子抜けかも知れませんが、
個人的には「違う内容でよかった・・」というのが実感です。

poderesunidos-ahnenerbe.jpg

またアーネンエルベ協会とヴェーヴェルスブルク城についても
最終的には主人公の探すお宝の行方とは関係がなかったりするんですが、
まぁ、この話があるので、読んでいて盛り上がりましたし、
興味のあったこの2つについて、これだけ書かれたものは初めてでした。
ミステリー小説のような展開と、結果的に「聖遺物」についても勉強になったという
拾い物以上に価値ある一冊でした。

・・・これをもって今年は終わりです。
来年もまたお付き合いください。






シリーズ 制服の帝国 -ナチスの群像- <上> [軍装/勲章]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

山下 英一郎 著の「シリーズ 制服の帝国 <上>」を読破しました。

6月に紹介した「制服の帝国 -ナチスSSの組織と軍装-」は、6000円オーバーという大作で
腕が疲れる・・というほどものでしたが、今年の3月に発刊された、「月刊アームズマガジン」誌で
2008年から連載されていたモノを上下巻の単行本にまとめた本書は
ソフトカバーで160ページ、お値段も1890円となかなか手頃なものです。
副題の「ナチスの群像」からは本書のテーマや内容がイマイチ読み取れませんが、
「ナチス・ドイツの規則や制服等、当時の資料や実際の用品を元に、細部に渡り徹底的に紹介する」
ということで、さらに「必ずしも一般には馴染みのない人物、組織、出来事も扱っている」と、
著者らしいマニアックな内容が期待できますね。

シリーズ 制服の帝国 上.jpg

最初の8ページは、嬉しいことにカラーでアルゲマイネSS(一般SS)の開襟服を紹介しています。
1933年頃のSS軍曹と1936年頃のSS准将の黒服、1943年頃のSS大尉と
1942年頃のRSHA少将とフィールドグレーの開襟服の4着が細かい解説で登場。
掴みはOKですね。

制服の帝国002.JPG

最初の章は「ナチス・ドイツの統治機構」と題して、
各省の大臣や党の全国指導者の関係を説明します。
といっても、これが実に大変に複雑怪奇なもので、例えばゲッベルスの宣伝大臣などは
良く知られていますが、それは首相ヒトラー内閣としての大臣であり、
ナチ党党首ヒトラーの元では「宣伝全国指導者」という役職であるわけです。

Nazi leaders Max Amann (Reich Press Chamber) and Robert Ley (German Labour Front) in Berlin, June 1939. The attractive lady in the back seat is Frau Ley.jpg

しかし閣僚や全国指導者全員がそうではなく、1936年の例を挙げて
全国指導者の18人中10人が政府での地位を持っていなかったということや、
その逆についても表を使って詳しく解説・・。また、それらも1945年まで、
常に変動していたというのが理解できます。
このような問題は似たような行政機関での混乱を招き、
青少年全国指導者フォン・シーラッハヒトラー・ユーゲントの教育方針を巡り、
政府の文部省との軋轢が起きてしまいます。

von Schirach_hitler.jpg

このような話が15ページほど珍しい写真も掲載しながら進みますが、
いや~、凄い濃い内容ですねぇ。。所々、読み返しながらでないと
難しくてなかなか理解できませんでした。
これは本書の書き方の問題ではなく、それだけ党を含めたナチス政府というものが、
様々な地位と役職が混在し、その権力争いも熾烈を極めていたことが要因のようです。
もちろん、これはヒトラーの狙いでもあるわけですね。
また、本書には書かれていませんが、ゲッベルスはナチ政権獲得前からの首都ベルリンの
「大管区指導者」でもありますが、ここにもやっぱりベルリン市長なんかがいるんでしょうけど、
どうせナチ党員でしょうから、どっちが偉いかは考えるまでもありません。。

Hitler,Hess&Goebbels.jpg

次はもうちょっと簡単な章で、「SSの高さに栄光あれ!」。
いわゆるアーリア人のエリート部隊であるSS隊員の入隊規定のひとつ、
最低身長170㎝であること、といった話ですね。
本書では年代ごとに変化したこの規定も細かく書かれ、
エリート中のエリートである「ライプシュタンダルテ」は178㎝以上であるものの
その他の一般SSなどは165㎝であり、また、これがSS独自の規定ではなく、
先に創設していた「ゲネラル・ゲーリング連隊」の基準を真似たものであるそうです。

LSSAH troops on parade.jpg

他にもSSの個人記録簿に書かれた身長と写真から、著名なSS将校の身長を推定する・・
といった試みを行っており、フリードリヒ・ヴィルヘルム・クリューガー
バッハ=ツェレウスキマイジンガーダリューゲらのオリジナルの記録簿を掲載しています。
シュトロープはちゃんと当初の「ヨーゼフ」が消されて、「ユルゲン」と手書きで改名していました。

Nordische Typen bevorzugt - die Musterung für die SS Standarte Nordland.jpg

次の章はSSの結婚式です。
あるSS少尉の結婚式の連続写真が発見されたようで、式の後の食事や団らんの様子までが
コメントとともに掲載されています。
本書によると、このような写真は新郎新婦はもちろんのこと、出席者もSS隊員だったという
証拠になって、時効のない非ナチ化裁判で追及されてしまうので、出回らないそうです。

SS-Standartenführer_Hochzeit.jpg

しかし、この奥さん、グレース・ケリー似の美人だなぁ。。と思ってたら、
次の章は「SSにおける女性キャリア」です。
SS女性補助員の組織図の「草案」を掲載し、女性全国指導者のショルツ=クリンク
キング・オブ・アルゲマイネSSことハイスマイヤーSS大将の奥さんだった話も紹介。

ss_woman.jpg

次の強制収容所と髑髏部隊の章では、「ダンツィヒ郷土防衛軍」が詳しく書かれていました。
これは1939年のポーランド侵攻時に、ダンツィヒで活躍した部隊で、
先日の「ナチスドイツの映像戦略」でも紹介されていたので気になっていましたが、
もともとは髑髏連隊「オストマルク」の第3大隊で、ダンツィヒ市議会から要請を受け、
侵攻直前の8月に派遣され、後には第3SS師団トーテンコップの歩兵連隊に編入された・・
ということです。

Danzig-Soldiers-Attack.jpg

「巴里の独逸人」の章では以前に紹介した「ナチ占領下のパリ」と「ゲシュタポ・狂気の歴史」でも
なかなか良く書かれていた、フランスでのSS、ゲシュタポのお話となっています。
最初に派遣されたクノッヘンSS大佐の頑張りと、オーベルクSS少将の登場。。
「フランスにおけるドイツ保安警察とSDの組織図」の分析では、
リヨン支部の指揮官がクナップSS中佐、代理がホラート大尉であり、
1942年からゲシュタポの長だった、かの悪名高きバルビーの名前は載っていないということで、
著者は「予想外に小物なのだろうか?」

Karl Oberg_Helmuth Knochen.jpg

ポーランドのユダヤ人を一掃する「ラインハルト作戦」の章に続き、
アインザッツグルッペンに焦点を当てた次の章では、ハインツ・ヨストSS少将が主役です。
1904年生まれの彼は、SD外国局局長を勤めますが(シェレンベルクの前任者ですね)、
「行動するインテリ」を求めるハイドリヒからの要請と、出世レースで必要な前線任務・・、
すなわちロシアでのアインザッツグルッペン指揮官としての任務に就きます。
しかし庇護者のハイドリヒが暗殺されると、彼も局長の座を解任され、役職もなくし、
東部へ左遷。。かつて同格だったオーレンドルフの指揮下で精神も病み、
挙句の果てには、武装SS軍曹として転属・・。対戦車猟兵としての訓練を受けることに・・。

Otto-Ohlendorf-Heinz-Jost.jpg

ハイドリヒが大学出のインテリに過酷な任務を求めたことや、
そのハイドリヒが死ぬと、ヒムラーによってハイドリヒ派が人事によって飛ばされた・・
というのは過去に読んだ話ですが、このヨストのような具体例を知ると、ちょっと同情しますね。
最後にはSS襟章とワシの袖章、そして金枠党員章パルチザン掃討章が紹介されます。

当初は160ページというボリュームと、写真もタップリ掲載されていることから
2時間程度で独破してしまうかと思っていましたが、いや~・・、コレはとてもとても・・。
章ごとの内容が濃くて(マニアックで)、部分的には読み返しながらでないと理解できない・・
という程の素晴らしいものでした。
結局、2日間に分けて4時間かけて読了しましたが、ちょっとグッタリしました。
すぐに下巻に突入するのをためらうほど、疲れました。。。実に濃い~です。。



戦場のクリスマス -20世紀の謎物語- [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

グイド・クノップ著の「戦場のクリスマス」を読破しました。

気の向いた本をやみくもに読んで紹介する「独破戦線」も、季節感を大事にしようかな・・、
ということで、2006年発刊の350ページの本書を選んでみました。
タイトルである「戦場のクリスマス」は、以前に「ヴィジュアル版 「決戦」の世界史」で
「戦場のアリア」という映画を紹介しましたが、第1次世界大戦中の塹壕戦のなか
クリスマス休戦が行なわれ、サッカーまで・・というお話です。
本書はドイツZDFで放送された人気歴史番組「ヒストリー」を編集した27章のうち、
日本人向けの内容を抜粋して、15のノンフィクション短編集に仕上げたものです。

戦場のクリスマス.jpg

最初はその「戦場のクリスマス」から。
これは「戦場のアリア」のようなストーリー仕立てではなく、
当時の兵士たちが故郷に書き綴った手紙や写真などを紹介し、
戦争の最初の2年、1914年と1915年のクリスマスには、英独の各戦線のいたるところで
一時休戦が結ばれたエピソードを紹介しています。
物々交換に、写真を撮り合ったり、
もちろん双方50人ほどが参加した、じゃれ合いのようなサッカーの話も・・。

christmastruce1914.jpg

同じ第1次世界大戦からは、有名な魅惑の女スパイ「マタ・ハリ」が登場し、
「スターリンの私生活」は彼の若い奥さんの自殺や、子供たちとの関係が中心です。
この辺の話は、以前に観た「独裁/スターリン」という3時間ほどのTV映画でだいたい知っていました。
スターリンを演じたのはヴィトゲンシュタインの好きなロバート・デュヴァル
しかしデカイ「付け鼻」が異様でしたねぇ。。

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本書では娘のスヴェトラーナが、パパ・スターリンに命令を下す手紙のやりとりが楽しめました。
「1934年10月21日。秘書1号の同志、J.W.スターリンへ。
命令第4号。わたしもいっしょにつれていくよう命じます。署名:女主人」
「印。秘書1号の署名:かしこまりました。J.スターリン」
この娘さんは先月、85歳で亡くなったばかりですね。。ニュースでやってました。

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次の「レーベンスボルン(生命の泉)」は、以前に読んだ「ナチスドイツ支配民族創出計画」の
ダイジェスト的な感じ。
続いて、1936年のスペイン内戦での有名な写真、
戦場カメラマン、ロバート・キャパが写した「崩れ落ちる兵士」の章です。
要は「ヤラセ」写真ではないか・・と言い続けられてきたこの写真の兵士が誰なのかを検証しますが、
もうちょっとキアヌ・リーブスっぽく仰け反ってたら「銃弾を避ける兵士」になっていたでしょう・・。

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1940年、スターリンによって亡命先のメキシコで暗殺されたライバル、トロツキーと
その暗殺者ラモン・メルカデルの運命と続き、
次の「ココ・シャネル」の章は特に興味深く読みました。
独身を貫き通した「恋多き女」が、1927にはチャーチルと関係があったという説も登場し、
1940年には「自宅」にしていたパリのホテル・リッツがドイツ軍総司令部に・・。
壁一枚を隔てて「敵軍」と生活する彼女は、ドイツの防諜機関に属する
ハンス・ギュンター・フォン・ ディンクラーゲと恋仲となり、ドイツ軍の勝ち目が怪しくなってくると、
ディンクラーゲの上司、シェレンベルクが和平のために
彼女の友人、英首相チャーチルとの接触を模索します。

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戦後、彼女がシェレンベルクに送金を行っていたことが確認されているそうで、
これを「回想録で洗いざらい公表するよ」と脅されていた可能性も示唆しています。。

結局、シェレンベルクが「シャネルの愛人」だったのかどうか(wikiには思いっきり書いてありますが)
ヴィトゲンシュタインには良くわかりませんが、
独身で有名な金持ちのおばちゃんを利用しようとした人間が多かったのは事実でしょうし、
また、この激動の時代を生き抜いたシャネルもそうであったんじゃないか・・と思います。
そしてその「愛人」がひとりであったと考えるのも無理があり、
本命の彼氏以外にも、権力のある男と関係を持っていたとすれば、
シェレンベルクも「シャネルの愛人」のひとり・・という解釈が出来るのかもしれません。

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「白バラ」のゾフィーとハンスのショル兄妹も登場します。
これは以前に観た映画「「白バラの祈りゾフィー・ショル、最期の日々」そのままですかね。
それから「ヒトラー最後の秘書」ユンゲ嬢との晩年のインタビュー。
あの「U-234」も出てきました。コレも
「深海からの声 -Uボート234号と友永英夫海軍技術中佐-」のダイジェスト版のような展開ですが、
日本人士官の2人よりは、積荷であった「ウラン酸化物」の行方がメインです。

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「チャップリン」では英国人の彼が米国で成功する様子と、戦争が始まり、
彼が公式にソ連軍を応援することでFBIからマークされ、米国と喧嘩になるまでが
「モダン・タイムス」なども少し紹介しながら進みます。
チャップリンは「キッド」とか「街の灯」とか、子供の頃、いろいろ観ましたが、
ラストが大抵、悲しいんであまり好きじゃありませんでした。
なので、個人的無声映画のNo.1俳優は「バスター・キートン」です。今でも大好きですね。

しかし、チャップリンの「独裁者」は、大昔に一度見たキリなので、
いま観たら、考えさせられることが多い気がします。1940年の作品というのも凄いですね。

Chaplin The Great dictator.jpg

「宿命の山ナンガ・パルバット」の章では、1930年代からのアルプスなどに挑んだ
ドイツ人登山家の話が中心です。
今年観た「アイガー北壁」の話もチョロっと出てきました。
登山はやったことがないんですが、この手の映画は昔から好きで、
特に「アイガー北壁」は結構、キツイ映画で、グッタリしましたから、
本書のアタックも読んでて思わず力が入りました。

アイガー北壁 Nordwand.jpg

これ以降は戦後のお話で、まずは東西に分かれたドイツとベルリン。
トンネルやキャデラックのダッシュボードの裏側に隠れ、東から西へ国境越えを図るお話です。
なにかNHKで見たような気もしますが、「トンネル」という映画もありましたね。

「JFK」は兄である"ジョー"との因縁が興味深かったですね。
もともとケネディ家としては長男を政界入りさせるつもりだったのが、
第二次大戦中、V1ロケット基地への攻撃で戦死・・。
そして病弱な次男"ジョン"にお鉢が回ってきた・・ということです。

John F. Kennedy and Joseph P. Kennedy Jr.jpg

最後は「サダム・フセイン」。
今年は「カダフィ大佐」が世界を賑わせましたが、
10年前の「世界の荒くれ者」といえば、この人です。
スターリンとは違い、身内を信用して周辺を固めますが、
息子のウダイとクサイはプレーボーイでやりたい放題・・。
エジプトのムバラク大統領夫人の目の前でウダイが「毒見係」を撲殺したときには
さすがのパパ・フセインも、このバカ息子を始末しようとしたそうです。。

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しかしこのサダムやカダフィといった独裁者たち、麻原ショーコーとかってのは、
往生際が悪いですね。だいたい隠れてみっともない捕まり方をしています。
その点だけでいえば、ヒトラーは潔かったと思ってしまいました。

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かなり楽しめた1冊でした。
本書のタイトル、「戦場のクリスマス」は最初のエピソードだけで、
クリスマス気分を味わった・・というほどのものではありませんでしたが、
第1次大戦から2003年まで、確かに日本人好みのエピソード満載で、
実にいい気分転換にもなりました。

クノップ本としては、「アドルフ・ヒトラー五つの肖像」と「ヒトラー権力掌握の二〇ヵ月」を
今度、読むつもりでいます。「ホロコースト全証言」はちょっとなぁ・・。
しかし翻訳されていない「SS」とか、「スターリングラード」もぜひ読んでみたいですね。



















ベルリンの戦い -総統ヒトラー廃虚に死す- [第二次世界大戦ブックス]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アール・F.ジームキー著の「ベルリンの戦い」を読破しました。

第二次世界大戦ブックスのいわゆる「最終戦」・・、
副題からは「ヒトラー最期の・・」系統のようにも思いますが、メインはそうではなく、
この「独破戦線」で以前に紹介した、ヴォルフガング・パウルの「最終戦―1945年ドイツ」と
アントニー・ビーヴァーの「ベルリン陥落 1945」、
コーネリアス・ライアンの「ヒトラー最後の戦闘」と同系統になります。
著者は元米海兵隊員で、米陸軍省戦史部勤務の戦史家という肩書・・、
翻訳は加登川 幸太郎氏。久しぶりの最終戦なので楽しみです。

ベルリンの戦い.jpg

第1章は「ベルリンのはるかかなたで」と題して、1944年6月にノルマンディに上陸した
英米連合軍がベルリンまで1050㌔、片やソ連軍は1200㌔と、ドイツに対する脅威は、
戦略的に見て、まず対等という話。そしてフランスでの戦いとヒトラー暗殺未遂事件が紹介され、
東部戦線ではバグラチオン作戦の大攻勢の前に、10月までにはルーマニアやブルガリアが降伏、
フィンランドも同様となってドイツ第20山岳軍団が撤退。
北方軍集団もクーアラントに押し込められてしまうという状況。

German cavalry in Southern Bulgaria.jpg

年も明けた1945年1月12日、再びソ連の大攻勢、ヴィスワ・オーデル攻勢が始まり、
ドイツ第48装甲軍団はバラバラに粉砕され、参謀総長グデーリアンの要請によって
西部のSS第6装甲軍を東部に移すことをヒトラーは決定しますが、
それらはブダペストの油田保持に送られてしまいます。
さらにはヴァイクセル軍集団司令官には、ヒムラーが任命されるという悲惨な事態・・。

Guderian77.jpg

このあたり、1941年のバルバロッサ作戦から続く、ドイツの3個軍集団の名称変更について触れ、
北方軍集団はクーアラント軍集団、中央軍集団が北方軍集団へ、A軍集団を中央軍集団と
ヒトラーが改称したことを「なんの利益があるとも思えず、ただ後世の戦史研究者を混乱させるだけ」
と著者はクレームをつけますが、コレは確かにややこしいんですよね。。

3月20日、グデーリアンの退任勧告に喜んで応じた軍集団司令官ヒムラー。。
後任にハインリーチが着任するといよいよ「最終戦」らしい雰囲気がプンプンしてきます。
ヴィトゲンシュタインが「最終戦」の将軍を一人挙げろと言われれば、「ハインリーチ!」と即答します。

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バラトン湖での「春の目覚め作戦」もしっかりと紹介され、南方軍集団のその後の運命も
見えてきますが、ベルリン中心の本書では脇役扱いですね。
また、ナチスがアルプス要塞で徹底的に防戦することを心配するアイゼンハワーの様子や、
スターリンの戦術も交互に紹介し、防戦一方のドイツ軍だけではなく、
英米ソの首脳のベルリンと戦後を見据えた戦略もかなりしっかりと書かれています。
特にブラッドレーが払わなければならない損害を憂慮し、「いずれにせよ"都"は他のヤツラに
やらなくてはならないのだから・・」と語った話など・・。

Deutscher Volkssturm.jpg

4月、東プロイセンに侵攻したソ連軍。
ケーニッヒスベルクの周辺に4個軍を展開し、数千㌧の爆弾と焼夷弾の雨を降らせます。
要塞守備隊指揮官のオットー・ラッシュ将軍は「最後の一兵まで戦え」の総統命令のもと
6個師団でひたすら立て籠もりますが、「みんな死ぬまで頑張るのだ」と激を飛ばす
東プロイセン総督エーリッヒ・コッホはさっさと逃げる準備を・・。
もはや救援は見込めず、弾薬も尽き、数千人の将兵や市民のことを考え、
降伏を決意したラッシュ・・・。ヒトラーは欠席裁判で絞首刑を宣告します。

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ベルリンの東地区を守るテオドール・ブッセの第9軍の兵力は14個師団。
それに対するジューコフのソ連第1白ロシア方面軍は11個軍です。
1個軍と1個方面軍を比較するのも悲しいですが、この方面軍の内訳は、
狙撃77個師団、戦車、機械化7個軍団、砲兵8個師団というもの。。

第9軍の左にはマントイフェルの第3装甲軍が・・。こちらは11個師団ですが、
ロコソフスキーの第2白ロシア方面軍も8個軍で狙撃33個、戦車・・もういいですね。。

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そしていよいよジューコフの攻撃が満を持して始まります。
ゼーロウ高地を占領すべく、新兵器の探照灯でドイツ守備隊の目を晦まそうとするものの、
泥と煙と暗闇のなかで互いにぶつかり合い、大混乱となるソ連軍。。
この自爆的な話はどんな本で読んでも面白いですが、本書では
ビクビクして何が起こったのか理解できなかったドイツ軍が、ソ連軍に体勢を立て直すゆとりを
与えてしまった・・としています。

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ヒトラーが振り回された「シュタイナー軍集団」は第25装甲擲弾兵師団など、3個師団だそうですが、
ここに珍しい第4SS警察師団が含まれていました。ふ~ん。そうでしたか。
なにかに書いてあったかも知れませんが、忘れてました。

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第9軍の北翼を援護する予定のヴァイトリンクの第56装甲軍団は、ヒトラーの勝手な命令で
ベルリンの南東地区を防衛する任務を与えられ、ヴァイトリンク自身も
全ベルリン防衛司令官に任命されてしまいます。
これによって完全に孤立してしまったブッセの第9軍・・。
すでに砲弾は使い果たし、小銃によって西への脱出突破を図ろうとハインリーチに語り、
「これは犯罪だ・・」とハインリーチは、すぐさま第12軍のヴェンクに電話をかけます。
「"古い仲間"のブッセを救い出さなければならないぞ」

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しかし約束されていた第9軍への空輸補給は総統の立て篭もるベルリンへと変更され、
最高司令部の責任を問い、口論するハインリーチとOKW作戦部長ヨードル・・。
マントイフェルの第3装甲軍も崩壊し、カイテルから解任されるハインリーチ・・。

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遂にベルリン市内に突入し、本書の表紙のように国会議事堂を目指すソ連軍。
しかしベルリンは「要塞」などではなく、そこで行われた「ベルリンの戦い」は
単なる「掃討戦」でしかありません。

4月24日にベルリンから呼び出しを受けて到着したSSの将軍クルーケンベルクは、
彼が連れてきたフランス人義勇兵から成る第33SS師団シャルルマーニュ
決死隊90名のほかに、指揮すべき北方の外国人義勇兵中心の第11SS師団ノルトラント
わずか1個大隊の兵力なのに驚きます。
ベルリン地区司令官を任されても、地下鉄の車両に設置された司令部には
電話もなければ電灯すらありません・・。

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ヴァイトリンク指揮下のミュンヘベルク装甲師団は戦車を10両をもって
「歩兵の増援」として送られてきた国民突撃隊とともに防衛戦を繰り広げ、
地下鉄のアンハルター駅にいるノルトラント師団と合流します。
地下のプラットホームには司令部だけではなく、女や子供、負傷兵などがいっぱい。。
しかしソ連兵が地下鉄を通って前進するのを防ぐため、運河の壁を爆破したことから、
トンネル内に水が流れ込み、子供や負傷者を置き去りにしたパニックが発生します。

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ヒトラー最後の希望、ヴェンクの第12軍でもクラウゼヴィッツ、シャルンホルスト、
テオドール・ケルナーといった将校訓練学校の将兵たちで編成された青年師団などで
反撃を試みますが、24㌔前進するのが精一杯・・。ベルリンはまだ30㌔の彼方です。

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5月1日、SS部隊がナチのシンボルであるかのように守っていた国会議事堂が陥落し、
同様に、そのように思っていたソ連軍が赤旗を掲げます。
戦車を5両残したミュンヘベルク装甲師団はティーアガルテンで戦い続けますが、
ヴァイトリンクがソ連のチュイコフ将軍に降伏したことで、彼らは西への脱出を決心します。

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相変わらず第二次世界大戦ブックスはこの200ページ程度のボリュームと
タップリの写真が掲載されているにも関わらず
(米軍に投降したルントシュテットの写真なんか初めて見ました・・)、
本書も1944年からの流れと、ドイツの各軍集団や軍ごとの戦いの様子、
攻める東西連合軍と、ベルリンの将来を見据えた政治的駆け引き、
さらには、「総統ヒトラー廃虚に死す」までを実にバランスよく、まとめています。

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最初に挙げた「最終戦」を扱った3冊も、名著と呼べるものですから、今回読みながら、
「あ~、このシーンはアレに詳しく出てたな~」と再読したくなりました。
第二次世界大戦ブックスはヤフオクで綺麗なのが1冊200円で出たので、
まとめ買いしてしまいましたから、月に1冊ペースで独破していく予定です。



ル・グラン・デューク [戦争まんが]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ヤン, ロマン・ユゴー 著の「ル・グラン・デューク」を読破しました。

先日の宮崎駿著の「泥まみれの虎」で、まんがに目覚めた?ヴィトゲンシュタインが
本屋でチラ見して気になっていたスイス製の空軍独ソ戦まんがを第二弾に選びました。
これは「まんが」というより、「バンド・デシネ(フランス式まんが)」というそうで、
大人向けのオールカラーで、1コマ1コマが非常に丁寧に描かれたものです。
原著のハードカバー3冊をソフトカバー1冊にまとめた大判の本書は2,940円 となかなかの値段・・。
タイトルの「ル・グラン・デューク」とはフランス語で 「ワシミミズク」のことだそうで、
本書の主役機、ハインケルHe219の愛称「ウーフー」もドイツ語でワシミミズクを意味するそうです。

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第1章は1943年の東部戦線、まだドイツ軍が制空権を握っているとき・・。
第3夜間戦闘航空団(NJG3)に所属する、ナチ嫌いのパイロット、ヴルフ中尉が主人公です。
尾翼に描かれた「鉤十字」は国の識別マークではなく、ナチ党のマークであることから
愛機のソレは塗りつぶすという徹底振りで、周囲を困らせたり、反感を買ったり・・。

しかし腕の立つパイロットである彼に、新型の夜間戦闘機ハインケルHe219「ウーフー」が・・。
このHe219は、史実では東部戦線へ配備されてないそうですが、よっぽどのマニアでない限り
自分を含めて違和感は感じません。

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一方、ソ連側では赤色空軍の女性パイロット、リリア・リトヴァスキ中尉が主役。
彼女たちは「夜の魔女」としてドイツ軍陣地に爆弾をばら撒くのが主な任務です。
そして昼間戦闘機部隊へ移動になるものの、「空飛ぶメスザル」など信用しない大佐からは
冷たくあしらわれ、ストーブ直しを命ぜられます。
これは完全に「出撃!魔女飛行隊」のパターンだな~と思いましたが、
この主役の名前も、あの「リディア・リトヴァク」をもじったものであるのは間違いないでしょう。
時期的にはリディア・リトヴァクは戦死していますが、彼女以外にも活躍した女性パイロット
(しかも結構カワイイ)は多かったようですしね。

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そして強気の彼女は、身体を使ってさっさと大佐を誘惑し、飛行任務に就きますが、
この「バンド・デシネ」は結構、エロく描いてますね。。う~ん、嫌いじゃありません。。

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第2章は1944年秋、赤軍の攻勢の前に主人公のヴルフも「ウーフー」が撃墜され、
昼間戦闘機隊へ移動し、Fw-190で戦果を挙げていきます。
捕虜にしたソ連の女性パイロットを陸軍兵士が強姦・・、
そのような行為を許せないヴルフ。
彼は小さい一人娘に「女の人は殺さない」と約束しているのでした。

ヴルフを誘惑する婦人補助部隊の色っぽいおねーちゃんも登場しますが、
これがまた、芸術的なほどに描かれた美巨乳で、実に素晴らしい。。
自他ともに認める「おっぱい星人」のヴィトゲンシュタインとしては大好物です。。

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ソ連側でも、主人公のリリアに恋をするエース・パイロット、ヴァレンティンと
そのエースに思いを抱く政治委員の陰険なおばちゃんの三角関係が展開。。
イメージしていたより、人間関係がドラマチックに描かれていて
さすが大人をターゲットにしたまんが、、じゃなくて「バンド・デシネ」ですね。

第3章は1945年春、戦局は決定的となったものの
娘の疎開したドレスデンが壊滅し、復讐の鬼となったヴルフは撃墜を重ねます。
そしてドイツ側の捕虜となったリリアが、ソ連の女性エース・パイロットという宣伝材料として
ベルリン送りになるという情報を捕虜からの仕入れた政治委員のおばちゃんは、
この輸送機の撃墜任務をヴァレンティンに託します。
しかしそこに愛するリリアが搭乗していることなど知らされないヴァレンティン・・。
またその輸送機には柏葉騎士十字章を受章するためにベルリンへ向かうヴルフも
乗り込んでいるのでした。

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なんとか生き延びることのできた主役の2人。
しかし同僚の脱走に手を貸したかどで、懲罰任務を与えられたヴルフ。
彼が乗る飛行機はBf-109と、機首に4㌧爆薬を装着するJu-88が合体した
空飛ぶ棺桶「ミステル」です。
この親子飛行機でキュストリンの橋を破壊する特攻任務に命を懸けるヴルフの運命は・・。

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最初は綺麗だな~と思いながら読んでいましたが、途中、空戦が始まるとなにか物足りない・・。
コレは「バンド・デシネ」特有の技法であって、「ギューン!」とか「バババババッ!」とか
擬音が一切ないんですね。
なので、コマ1つは静止画のような綺麗な空戦が連続するんですが、
それがスピード感や迫力に欠けたように感じるみたいです。

160ページの本書ですが、2時間くらいかけて、ジックリと読みました。
フォッケウルフ Ta152やらエアコブラやらの飛行機と塗装、コックピットに装備、
ドイツ陸軍も含め、冬季のバラバラな軍服と実に細かく、丁寧に描かれていましたし、
ルフトヴァッフェ内に混在するナチ派と反ナチ派や、独ソの敵同士の交流・・と
戦争に翻弄される個人個人の心情が充分伝わってくるものでした。
登場人物もストーリーもフィクションですけど、
300機撃墜でスターリンから1万ルーブルの懸賞金を懸けられたハルトマンの話もあったり・・。
今まで読んだ「まんが」とは明らかに違った、初体験の一冊でした。
次に「独破戦線」で紹介できる「まんが」は、まだ決まっていません。あるのかな?