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第44戦闘団 -ザ・ガランド・サーカス- [ドイツ空軍]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ロバート・フォーサイス著の「第44戦闘団」を読破しました。

終戦間際の1945年に創立され、実稼動11週間という短いながらも
航空史に様々な伝説を残すアドルフ・ガーランド中将率いるジェット戦闘機隊の全貌です。
著者の広範囲な調査とガーランドを初めとする複数の関係者へのインタビューによって、
その偶然のような第44戦闘団創設の過程から単独降伏までを
豊富で貴重な写真とともに解説しています。

第44戦闘団.JPG

「騎士十字章が部隊章」と言われたほどのトップエース達で構成され
最新のジェット戦闘機メッサーシュミット/Me-262を操って、連合軍に最後の戦いを挑む・・
と書けば、いかにもエリート部隊然としていますが、事実はまったく逆であり
様々な身内の妨害工作のなか、ガーランドとヨハネス・シュタインホフ大佐の2人での
ジェット戦闘機集め、そしてエース・パイロット探しにと奔走します。

me262A-1a.jpg

そして続々と名だたるパイロットたち・・ヴァルター・クルピンスキー大尉、
ゲルハルト・バルクホルン少佐、ギュンター・リュッツォウ 大佐などが集まります。
この辺りはまるで映画「荒野の七人」のようで、ワクワクしますね。
しかし、いくら何百機撃墜していようとも、この小さな戦闘団では様々な役割が与えられ
300機撃墜の世界第2位のエースであるバルクホルンも「輸送車両担当」という有様です。

Galland&Lützow.jpg

やがてシュタインホフは離陸時の事故で全身大火傷の重症を負い、
ガーランドが最も信頼した、「男」リュッツォウ も未帰還となり、2度と姿を見せることはありません。

johannes-steinhoff.jpg

しかし、実はこの本の前半半分は第44戦闘団の文字は出てきません。
戦闘機隊総監であったガーランドに反感を持つ、ゲーリングの取巻き達の策謀を中心に
戦闘機将校による有名なゲーリングへの反乱、そしてガーランド失脚までを
多数の証言から再現しており、個人的には非常に勉強になりました。

特に、28歳にして「爆撃機隊総監」という地位にあり、爆撃機パイロットを
戦闘機パイロットへ変換することで、Me-262をガーランドと取り合うことになる
ディートリッヒ・ペルツ少将は強力なインパクトがありますし、
ヒトラーの特攻隊」を指揮したハヨ・ヘルマン大佐も反ガーランドとして登場。

Peltz.JPG

そしてダイヤモンド章拝領者の大エースであるゴードン・ゴロップ大佐に及んでは
SS全国指導者ヒムラーに近づき、ガーランドの失脚を狙います。

Gollob.JPG

自殺寸前まで追い詰められたガーランドでしたが、ヒトラーの鶴の一声により
国家保安本部長官のカルテンブルンナーが直々に誤りに来て一件落着となりますが、
後任として戦闘機隊総監となったゴロップとペルツからは
ジェット戦闘機隊創設後も最後まで嫌がらせを受け続けることになります。
しかし責任ある立場の彼らも、ガーランドが指令級や教官のパイロットを
好き勝手に引き抜いたりしているのを黙認する訳にいかなかったと述べていて
あくまで双方の証言を客観的に整理しているあたりは、とても好感が持てる内容です。

ドイツ空軍の部隊史としては最高級のもので、ちょっと高いですがその値段に見合うものです。



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ヒトラーの贋札 -悪魔の工房- [収容所/捕虜]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アドルフ・ブルガー著の「ヒトラーの贋札」を読破しました。

スロヴァキア人の著者の体験談です。同名の映画の原案ともなりました。
親ナチとなったスロヴァキア政府のドイツSSを模範としたフリンカ親衛隊に逮捕された
印刷工の著者は、いきなりアウシュヴィッツへ収容されてしまいます。
同じアウシュヴィッツ強制収容所でも、そのそばに新たに建設された
アウシュヴィッツ=ビルケナウはまったく別の次元の巨大収容所であったことを知りました。
中盤までこの死の収容所の凄まじい生活の様子を豊富な写真と共に振り返ります。
安易に「贋札作り本」と思って買ってしまうとホロコーストの凄惨さに
度肝を抜かれてしまいますので注意して下さい。。。

ヒトラーの贋札.JPG

そして1944年、ベルリン近郊のザクセンハウゼン強制収容所へ移送され、
ここでいよいよ被収容者による贋札作りチームに加わることになります。
ここでの責任者であるベルンハルト・クリューガーSS少佐にちなんで
「ベルンハルト作戦」と名付けられた紙幣偽造は
ポンド紙幣から、最も難しいとされるドル紙幣への挑戦と移って行きます。

Bernhard Krüger.jpg

もともとこの外国紙幣偽造計画を立案したのは、
SDのスパイ指導者として名の知られたアルフレット・ナウヨックスSS少佐で
1939年にはSD長官のハイドリヒから正式に責任者に任命され、
計画自体もヒムラーからヒトラーへと認知されました。
しかしその後、ナウヨックスはハイドリヒの不興を買い、
武装SSのライプシュタンダルテに転出となり前線に送られ、
そのハイドリヒはプラハで暗殺されてしまいますが、作戦は続行されていきます。

Naujocks_Heydrich.jpg

偽造計画は外国紙幣には留まらず、パスポート等の書類も手掛けていますが、
個人的には連合軍との「ニセ切手戦争」がとても楽しめました。
バリエーションは色々あるものの、ナチのデザインはドイツらしいというかアイデアが硬く、
それに比べると、ニセ切手の先手を打った連合軍側の
ヒトラーの肖像をヒムラーにしたり、ヒトラーを骸骨にしたりとセンスはあります。

himmler Stamp.jpg
Hitler Stamp.jpg

他にも、贋ポンド紙幣の刷版を作った秘密工場の責任者が
オットー・スコルツェニーSS少佐という新たな発見もあり、充実した内容の一冊です。
「ヒトラー・マネー」もそのうちに読んでみたいと思います。





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ラスト・オブ・カンプフグルッペ [戦記]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

高橋慶史 著の「ラスト・オブ・カンプフグルッペ」を読破しました。

カンプフグルッペとは「戦闘団」のことですが、本来は戦線などの状況により
特別編成された部隊のことを指します。
しかし、ここで登場する(特に)ドイツ軍の戦闘団は、
師団として崩壊してしまったがための戦闘団であり、各連隊や大隊、中隊の生き残りの
寄せ集めという、大戦末期の戦闘団が主役です。
12章から成るこの本は他にも戦闘団ではないにしろ、ルーマニアやブルガリアという
日本では殆ど知られていない戦車師団などが紹介されており、非常に勉強になりました。

ラスト・オブ・カンプフグルッペ.JPG

そんな知られざる戦闘団のかなりマニアックな戦史といえますが、
グデーリアン先生に始まり、エーベルバッハやマントイフェル将軍
Dr.フランツ・ベーケ少佐伯爵シュトラハヴィッツ大隊長といった
有名な機甲戦のプロフェッショナル達も所々に登場します。

映画「遠すぎた橋」(原作では「遥かなる橋」)で有名なマーケット・ガーデン作戦における
ドイツ側の戦いも2章あり、あちらがお好きな方にも興味深いのではないでしょうか?
特に第9SS戦車師団「ホーエンシュタウフェン」の戦いでは、姉妹師団である
第10SS戦車師団「フルンツベルク」のハインツ・ハルメル師団長の存在が光ります。

Heinz Harmel.jpg

海軍歩兵師団の章では「パウケンシュラーク作戦」として、
U-123でアメリカ沿岸を荒らし回ったことで有名なUボート艦長である
ラインハルト・ハルデゲン少佐が「第6海軍擲弾兵連隊第1大隊長」という
凄い話も出てきました。
このパウケンシュラーク作戦を扱った「ドラムビート」も近々、読破予定です。

U-123 Hardegen.jpg

個人的に楽しめたのは、アメリカ軍の「血のバケツ」師団こと第28歩兵師団の戦いで、
ヒュルトゲンの森での戦闘でドイツ軍に血だらけにされ、
休養と再編成のために下がった地点が、アルデンヌ攻勢(バルジの戦い)の
ドイツ軍の突破地点であったという「ツキの無さ」が紹介されています。

この「血のバケツ師団」のヒュルトゲンの森での戦闘は、映画になっていたようで
「プライベート・ソルジャー」という訳のわからん邦題のDVDを買ってしまいました。。
でもタイトルから想像するよりは、ずっと面白い映画でしたね。




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パリは燃えているか? [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

L.コリンズ, D.ラピエール著の「パリは燃えているか?」を読破しました。

昔から有名なタイトルです。
実は知りませんでしたがこれはヒトラーの言葉です。
パリ破壊命令を出していたヒトラーが、パリ市内に連合軍が侵攻したとの連絡を受けて
「いま、この瞬間、パリは燃えているのか?」とヨードルに問いただしたとされています。

パリは燃えているか.JPG

ノルマンディ上陸後の連合軍は当初、補給の問題から早々のパリ解放は行わない方針でした。
しかし、フランス自由軍のドゴール将軍は一刻も早い解放をアイゼンハワーに迫ります。

一方、ドイツ軍の大パリ司令官に任命されたコルティッツ将軍は、
セーヌに架かる橋、全ての工場からノートルダム寺院、凱旋門、エッフェル塔に至るまで
破壊し尽くせという、ヒトラーの「パリ破壊命令」に疑問を抱きつつも、
増援として送られてくる3個師団が到着したならば、パリ市内での防衛戦、
そして軍人として最終的な命令の遂行しなければ・・という苦境に立たされます。

von Choltitz.jpg

東部戦線における焦土作戦や、ドイツ本国の各都市が廃虚となるほどの爆撃を
受けていたことからも「パリを敵の手に渡すときは廃墟になっていなければならない!」
とするヒトラーの命令には現実味があります。

突然、セヴァストポリ要塞攻略などに用いられた、
60cm超大口径の「カール自走臼砲をパリへ送れ!」
と言い出したりと(その後もヒトラーはしつこくカールの行方を気にします)
総司令部内を慌てふためかせます。
個人的な見解ですが、ひょっとしたらコルティッツが
セヴァストポリ要塞攻略に参加していたことからの発想かも知れません。

Mörser Karl.jpg

そして主役であるコルティッツ将軍は大パリ司令官であるにも関わらず、
逐一、統帥局長ヨードルや西部方面軍司令官のクルーゲ、
その後任のモーデル両元帥からもはっぱをかけられ悩み、苦しみます。
結局は様々な策略の末、パリを破壊をすることなく、名誉ある降伏によって捕虜となりますが
この英断によりコルティッツは戦後、フランスから名誉パリ市民号を贈られたそうです。

有名なだけあって、さすが面白いノンフィクションです。
「ナチ占領下のパリ」という本も読みたくなりました。

ルネ・クレマンの映画「パリは燃えているか」も観てみたいんですが
なぜかDVDが売っていません!
コルティッツ将軍を演じているのはゲルト”ゴールドフィンガー”フレーベだそうで
どうですかね?ちょっと悪役顔すぎないですか?
ご存知の方いらしたら教えてください。





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ヒトラー最後の戦闘 [戦記]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

コーネリアス・ライアン著の「ヒトラー最後の戦闘」を読破しました。

有名な本です。
著者のライアンも「史上最大の作戦」と「遥かなる橋」で有名です。
1945年3月から第三帝国の崩壊までをベルリンの一般市民から
ヒトラーを中心としたドイツ軍、連合軍側もスターリンにはっぱをかけられる
ジューコフとコーネフのベルリンを目指した競争、チャーチルとモントゴメリーの英軍に
ルーズベルト、アイゼンハワー、パットンの米軍に至るまで、
空爆に苦しむベルリン市民の日常から激しい東西両戦線の攻防、
連合国の政治的駆け引きまでをダイナミックに描いています。

ヒトラー最後の戦闘.JPG

しかしなんといっても物語の中心はヒトラーに翻弄されるドイツ軍の将軍たちであり
それはSS全国指導者ヒムラーのヴァイクセル軍集団司令官の座を解任し、
防御戦の達人ハインリーチ上級大将(この本では元帥)を後任に据えるため呼び出した
グデーリアン陸軍参謀総長のヒトラーに対する怒り爆発から始まります。

Heinrici.JPG

一方、西の英米軍に対するエルベ川の戦線を守るため、
誰も知らない第12軍の司令官として若き将軍ヴェンクが任命されますが、
とても正規の一個軍とは呼べるような代物ではない有様。

Guderian&Wenck.jpg

陥落間近となったベルリンも防衛軍司令官に任命されたライマン中将が紛争しますが
ベルリンのガウライターを兼ねるゲッベルス宣伝大臣との摩擦によって解任され
ヴァイクセル軍集団隷下の第56装甲軍団長を務めていたヴァイトリンク大将が後任となります。

Hellmuth Reymann.jpg

そのヴァイクセル軍集団もジューコフ怒涛の攻撃をブッセ大将の第9軍が
ゼーロウ高地で凌ぐもののやがては包囲され、
師団を抽出されて弱体化したマントイフェル大将率いる第3装甲軍も撤退を余儀なくされます。

Hasso von Manteuffel.jpg

フェリックス・シュタイナーSS大将のシュタイナー軍集団も命令に反し、
むやみに動くことはせず、上官であるハインリーチとも口論となります。
このような絶望的な防衛戦のなかで
本書の主役であるハインリーチは総統司令部と対立し
カイテルやクレープスというヒトラーのイエスマン達とも戦い続けます。

Felix Steiner.jpg

邦題こそ「ヒトラー最後の戦闘」ですが、
「ハインリーチ最後の戦闘」とも言えるほどの格好良さです。
でもまぁ、それじゃ売れませんわな。。





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