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実録やくざ映画大全 [番外編]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

別冊映画秘宝編集部著の「実録やくざ映画大全」を読破しました。

去年の10月に紹介した「ナチス映画電撃読本」に続く、ムック形式の映画シリーズ第2弾。
戦争映画名作選 -第2次大戦映画ガイド-」という本も紹介したことがありますが、
4月に発刊された159ページの本書を偶然、本屋さんで見かけまして、
近頃も「戦う広告 -雑誌広告に見るアジア太平洋戦争-」でのヒロポンの件やら、
人間機雷「伏龍」特攻隊」に安藤昇が登場したりと、なにかとやくざ映画を思い出してました。
18歳の頃にはレンタルビデオでかなりの"実録やくざ映画"を観ましたから、
懐かしい思い出と共に、血湧き肉踊ってみたいと思います。

実録やくざ映画大全.jpg

巻頭には付録?として、渡哲也東映第一回主演作「仁義の墓場」のカラーポスターが・・。
うげっ、いきなり・・。この映画、特にラストシーンが強烈で・・。
キャッチコピーは「俺が死ぬ時はカラスだけが泣く!」
その後、16ページは「新聞広告に見る実録やくざ映画史」で、
1973年1月公開の「仁義なき戦い」がシリーズで登場。
ゴッドファーザーからバラキ、そして今、衝撃の話題は日本の≪仁義なき戦い≫へ!
な~るほど・・。実録路線が誕生したのはそういった背景があったんですね。

仁義の墓場.jpg

本書はその仁義なき戦い」から、1977年に公開された「北陸代理戦争」までの5年間、
東映が送り出した実録やくざ路線についてまとめたもので、
1960年代に一世を風靡した鶴田浩二、高倉健らの「任侠路線」が衰退し、
1972年には、「あさま山荘事件」の銃撃戦がTVで生中継というスクリーンの倦怠期に
戦後日本で起こった数々の暴力団抗争事件をテーマにしたアクション映画が
連続で大ヒットを飛ばしたのです。

そんな当時、ヴィトゲンシュタインはナニをしていたのかというと、
現役バリバリの小学生ですね。
洋画とアニメは映画館で観ていた映画大好き少年でしたが、日本映画はあまり好きじゃない・・。
初めて映画館で観たやくざ映画は1984年の「修羅の群れ」だったと思います。
いや~、実に面白かった。本書では残念ながら対象外の映画ですが、
コレがきっかけで本格的になったレンタルビデオで過去の実録やくざ映画を見倒しました。

修羅の群れ.jpg

一発目に紹介されるのは、すべてはここから始まったという「仁義なき戦い」です。
4ページに渡ってストーリーと、映画にまつわるエピソードが白黒写真タップリで・・。
この映画だけは中学生の頃だったか、TVで観た記憶があります。
なんといっても画面ブレブレのその場にいるかのような迫力と、
松方弘樹のような主演格の強面が菅原文太に殺されると勘違いして、
「ひゃあ~、やめろ~!」と裏声で叫ぶシーンが特に印象的でした。
それまでは拳銃突きつけられても「おぅ、撃てるもんなら撃ってみい!」
なんてのが当たり前の映画の世界で、このシーンはリアルだなぁ・・、
やくざでも撃たれると思ったら、やっぱり怖いんだなぁ・・と思ったものです。
この映画をご覧になっていない方でも、パァ~、パララ~♪ というテーマ曲はご存じでは?



2作目「広島死闘篇」は24歳で自決した実在のヒットマンが主役です。
そのヒットマン山中を演じるのは北大路欣也。ラストの拳銃をくわえるシーンはグッときます。
そしてもう一人、大友勝利を演じる千葉真一・・。
割り箸をくわえながら股間を掻きまくる下品かつ破天荒で強烈なインパクトを残します。
本書によるとキャスティングの段階では2人の役は逆で、脚本を読んだ欣也が
自分は山中の方が向いていると深作監督に直訴。
クランクイン直前に変更を告げられた千葉ちゃんは大揉めに揉めた末に折れた・・
というエピソードが。。結果オーライの気もしますね。

広島死闘篇.jpg

大ヒットとなって第3作の「代理戦争」の製作開始。
しかし当時の東映中堅俳優は総ざらえで第1作に出演していたため、
前2作で死亡してフェイドアウトしていた俳優が別の役で復活してきます。
梅宮辰夫に室田日出男、渡瀬恒彦といったお馴染みさんたちですね。
川谷拓三が広能(文太)への詫びに「手首ごと詰める」シーンは痛かったですね。。
面白いのはこの「手首を詰めた川谷拓三」がフィギアになっているところです。
いったい、誰が買うんでしょうか?

仁義なき戦い_フィギア.jpg

「代理戦争」の直接的な続編である第4作「頂上作戦」は
シリーズ完結編として製作が始まったそうです。
第1作でおもちゃ屋で殺された松方弘樹が肺を病んでいる設定の役で帰還。
どす黒いメイクと絶え間ない咳で、再び強烈なキャラを演じるも、やっぱり殺されて・・。
また、日活の大スター、小林旭も前作から参入して話題となります。

仁義なき戦い 頂上作戦.jpg

こうして大団円を迎えたはずの「仁義なき戦い」ですが、
東映は簡単に大ヒットシリーズを終わらせるつもりはなく、「完結編」を製作。
シリーズを支えた脚本家の笠原和夫が戦線離脱するものの、
第2作で自殺を遂げた北大路欣也が復活し、
「ヒッヒッヒ・・」と不気味に笑うキャラを演じるのは2度蘇った松方・・。
大友勝利を再び演じる予定だった千葉ちゃんは空手映画が目白押しでスケジュールが付かず、
代わりに「エースの錠」こと、宍戸錠が怪物を演じます。

仁義なき戦い 完結編.jpg

途中には平成22年に亡くなった、主役の文太演じる広能昌三のモデルとなった
美能幸三の会見記が掲載され、この仁義なき戦いの表と裏を知ることができます。

しかし完結してもまだまだ満足しない男たち。
男女入り乱れての過激なキャラで復活したのが「新・仁義なき戦い」シリーズです。
ストーリーは焼き直しのようですが、文太は狂犬キャラへと変貌するなど、
観たことなかったんですが、コレはコレで楽しそうですね。

新シリーズ2作目の「組長の首」も、山崎勉がヒロポン中毒の「厄ネタ」として
強烈な演技を見せつつ、ウルトラセブンの「アンヌ隊員」こと、ひし見ゆり子が
巨乳をご披露して、彼女を抱く男がことごとく死んでいく、
通称「下がりボンボン」を演じているそうです。マジかっ!
ちなみに「厄ネタ」とは、「物凄く迷惑な人」という意味だそうな・・。

新 仁義なき戦い・組長の首.jpg

76ページからは日本が誇るギャングスター、安藤昇。
「伏龍」特攻隊から帰って来てからは法政大学在学のまま、新宿・渋谷で暴れ回り、
「セイガクやくざ」の先駆けとなって、20代の若さで愚連隊・安藤組組長となった男。
彼の半生を紹介した後、「やくざと抗争 実録安藤組」へと続きます。
冒頭シーンでは当時47歳の安藤昇が、無理のある学ラン姿で昔の自分を演じます。。
「ホタテマン」に変身する前の安岡力也も張り切ってますね。

実録安藤組.jpg

その他、安藤昇主演作がいくつか紹介されていますが、
気になったのは「実録・私設銀座警察」です。
戦後間もない昭和21年~25年が舞台で、三国人(朝鮮人、台湾人)と、
それに対立する復員兵が入り乱れて、警察も手をこまねくほど治安は最悪・・。
そこでやくざや愚連隊が自警団的役割を・・という実録ストーリーです。
出だしに復員兵である渡瀬恒彦が妻のもとへと帰還するも、黒人兵と懇ろ・・。
そして明らかに黒人の血を引く赤ん坊を見つけると、フルスイングで窓の外へ放り出し、
不貞を働いた妻を撲殺! こうしておもむろにメインタイトルが・・。
いや~、恐ろしい映画ですねぇ。ちょうど6月にDVDが出てました。

実録・私設銀座警察.jpg

次は冒頭のポスターである「仁義の墓場」特集が10ページ。
渡瀬恒彦もチンピラやらせたら半端じゃありませんが、当時の兄貴もキレッキレ・・。
先日放送された「西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ」の
兄弟共演の面影はまるでありません。。
「親分だろうが兄弟分だろうが、己の欲望を邪魔する奴には容赦なくドスを振るい、
麻薬漬けになった挙句、病死した愛人の骨をボリボリむさぼる、究極の厄ネタ」。
まぁ、「西部警察」の大門軍団観て育った世代ですが、この渡哲也はエグ過ぎます。
そして後味悪過ぎます。

そういえば「たけし軍団」とかにしても、人が集まるとなんで「軍団」なんでしょうかねぇ・・?
「師団」でもなければ、「軍」でもない・・。
このBlog的には3万人程度で「軍団」と認定します。と真面目に言ってみる。。
あ~、脇役の「ピラニア軍団」とか、「悪役商会」なんかも懐かしい響きですね。

仁義の墓場_渡哲也.jpg

さて、110ページから健さんが実録路線にやって来ました。
山口組三代目」と、「三代目襲名」です。
田岡一雄自伝を原作に彼の半生を描いた実録やくざ映画ですが、
主要となるエピソードは昭和初期であり、イメージ的には「任侠」っぽくもありますね。

山口組三代目.jpg

続いて出ました。「実録外伝 大阪電撃作戦」。
若い頃に観た「実録やくざ」モノの中では、個人的に一番好きな映画がコレで、
本書と一緒にDVDを買ってしまいました。
別に"電撃作戦"というタイトルに惹かれた・・というわけではありませんので。。

丹波哲郎組長に間違って絡んじゃったチンピラたちが、その逆鱗に触れ、
松方弘樹組長共々「人間狩り」に遇う・・という怖くて可哀そうなお話ですが、
狂気のチンピラ、渡瀬恒彦vs片目の殺し屋、目黒祐樹という
渡、松方の弟対決が実現。
特に目黒祐樹の怖さは人間じゃありませんでした。思い出すだけでブルブル・・。
20年以上前に観て以来ですから、楽しみな反面、
ツマンナカッタらどうしよう・・と不安な気持ちも。。

大阪電撃作戦.jpg

最後はやっぱり松方主演の「北陸代理戦争」です。
修羅の群れといい、大阪電撃作戦といい、やくざ映画では松方が一番好きなんですね。
ですから、本書を読んで観ていなかった映画は、ほとんど松方が出ていない映画でした。
当時はやくざ映画の解説本なんてなかったですしねぇ。

東映はコレ以降、文太が「実録モノはもう嫌」と漏らし、「トラック野郎」で大人気に、
また、鶴田浩二、三船敏郎といった大御所スターをキャスティングした「日本の首領」シリーズ、
80年代に入ると「二百三高地」や、「大日本帝国」といった大作ブームに突入するのでした。

大日本帝国.jpg

楽しい一冊でしたねぇ。
あくまで映画であるわけですが、そこは「実録」でもあり、
各々のストーリーだけでなく、元となった事件についても詳しく触れられていました。
一般に名作映画っていうのは大抵、素晴らしい「悪役」がいるものですが、
この「実録」の場合には、ほぼ全員が「悪役」なので、その定義には当てはまりません。
そこで強烈な「厄ネタ」が出てくる「実録」が評価されているような気がしました。

matukata_umemiya.jpg

映画の「悪役」ということだと、本書と同じ本屋で見つけた
モンスター大図鑑」という本も読みました。
著者は「ブルースブラザース」や、「狼男アメリカン」のジョン・ランディス。
またはマイケル・ジャクソンのPV「スリラー」の監督と言った方が良いでしょうか。
オールカラーで写真タップリ、リック・ベイカー、クリストファー・リー 、サム・ライミ、
デヴィッド・クローネンバーグ、そしてレイ・ハリーハウゼンらのインタビューも。
このような名前に反応される方なら、間違いなく楽しめます。
もうちょっと言えば、表紙のフランケンシュタインの怪物もボリス・カーロフではなく、
「ヤング・フランケンシュタイン」という遊び心が内容を物語っています。

モンスター大図鑑.jpg


「仁義なき戦い」は今年の3月にBlu‐ray BOX で発売されていましたが、
珍しくamazonのレビューがかなりの高評価で思わず欲しくなりました。
「大日本帝国」は観た記憶がないですね。今、ココ勉強中ですからどうしようかな・・。
ですが、とりあえず、「大阪電撃作戦」を楽しんでみようと思います。



















タグ:伏龍
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コメント 2

IZM

やくざ映画、残念ながらほとんど見ていないのです。
当時川谷卓三さんが大活躍してるのは、知っているんですがワタシにはどんべえのCMとかのちょっとひょうきんな印象の方が強いですかね。子どもの時に見てたドラマや映画の常連さんでしたから。シリアスな役では映画「226」の時の「中隊長、絶対死んだらいかんきんねえ。。。。」のシーンが忘れられないです (涙 長生きして欲しかった俳優さんの一人ですね。
同じく文太さんもやくざ映画よりもトラック野郎のイメージが自分には強いです。そして兄はトラック野郎に憧れて、本当にトラック運転手になりましたwwww

by IZM (2013-09-14 21:29) 

ヴィトゲンシュタイン

おぉ、「226」。
ショーケンですね。
この映画観て、226事件の勉強しようと思ったのに、スッカリ忘れてた・・。
IZMさんが実録モノに詳しくなくてホッとしました。。
by ヴィトゲンシュタイン (2013-09-15 20:01) 

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