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潜水艦の死闘 -彼らは海面下で戦った- [Uボート]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

エドウィン・グレイ著の「潜水艦の死闘」をたぶん、再度、読破しました。

Uボートものっていうのは、急に無性に読みたくなるときがありますが、
もう、あらかた読んでしまったなぁ・・と、ちょっと寂しいこの頃です。。
しかし、未読本棚に本書があったことを発見しました。
結構前に買った本で、このBlogをはじめる前に読んだような気がするんですが、
第1次大戦から、世界6カ国の潜水艦エース、17人が登場し、
そのなかには、あのオットー・クレッチマーの章もあるというのに、まったく思い出せません。
そんなことで1997年発刊で390ページの本書をこれ幸いとばかりに読んでみました。

潜水艦の死闘.jpg

国順でもなく、アルファベット順でもなく、古い順に紹介される本書はまず、
第1次大戦時の英海軍、マックス・K・ホートン中佐に始まり、
2人目はドイツ海軍のオットー・ヴェジゲン(ヴィディゲン)大尉が登場します。
名著「デーニッツと「灰色狼」」でも少し触れられていた名艦長ですが、
1914年9月に英海軍の装甲巡洋艦3隻に、乗組員たった24名の小さなU-9で戦いを挑み、
短時間でアブーカー、グレッシー、ホーグを葬り去ります。
そして新たなU-29をもって、英国グランド艦隊に挑戦するものの、
戦艦ネプチューンを狙った魚雷は外れ、
次の目標を狙っている最中、右舷側から戦艦ドレッドノート押し潰され、
U-29は残骸も生存者も残すことなく、沈んでいくのでした。

OTTO WEDDIGEN.JPG

1918年にドイツ軍が占領するベルギーのゼーブリュッヘ運河の鉄橋破壊作戦を行った
英海軍のサンドフォード大尉の活躍は印象的でした。
「第1次大戦における3軍のなかでも最も見事な偉業である」とチャーチルも語っているように
爆薬を積んだ潜水艦で細い運河を通り、このC-3で鉄橋の橋桁激突するという決死の作戦。
第2次大戦での「チャリオット作戦」の原点のようにも思いましたね。
英海軍はこういうのが好きなのかも知れません。

Richard_Sandford.jpg

ローター・フォン・アルノー・ド・ラ・ペリエール少佐も「Uボート総覧」で知っています。
長い名前からわかるとおり、祖先はフランス人とドイツ人で、
彼はフォン・ティルピッツ海軍元帥の副官に任命されるという由緒正しい貴族です。
U-35の艦長になってからは撃沈に撃沈を重ね、4ヵ月で114隻を葬り去り、
スペイン領海内ではあのヴィルヘルム・カナリス少尉まで収容する大活躍。
シーマンシップも見事で、捕虜にした船長からは「貴艦の捕虜であった23日間にわたって、
貴官、士官たち、全乗員の皆様から受けた親切かつ丁重なる取扱いに対し、
謝意を表明せずして貴艦を去ることはできません」との手紙を受け取るほど・・。

本書では合計195隻を撃沈と、1隻多いですが、軍艦も3隻含まれています。
しかし休戦は水兵たちに反乱を起こさせ、港では士官が射殺されています。
こうして、最高のUボート・エースも逃亡者のように私服で自分のUボートから
抜け出さざるを得ないのでした。

Lothar von Arnauld de la Perière_U35.JPG

いよいよ第2次世界大戦。
最初に紹介されるのはヤン・グラジンスキー少佐です。
ヴィトゲンシュタインも知りませんが、それもそのはず、ポーランド海軍なんですね。
1939年のドイツ軍の侵攻、グダニスク湾もシュトゥーカ急降下爆撃機の目標となりますが、
ポーランド潜水艦隊の5隻の潜水艦は奇跡的に脱出に成功。
その内の1隻、潜水艦オーゼルはバルト海に向かい、中立国のエストニアに・・。
その後、英海軍に編入されて、翌年のノルウェーを巡る「ヴェーザー演習」作戦でも
英海軍の潜水艦として戦うのでした。とても珍しい話ですね。

Jan Grudziński.jpg

10番目に登場するのは、第2次大戦におけるUボート最高のエース、オットー・クレッチマーです。
内容としてはクレッチマーとその友人でライバルであるU-47のプリーン
U-100のシェプケ共々紹介されます。
そして1941年の船団攻撃で3大エースは護衛駆逐艦の前に敗北。
唯一、クレッチマーのみが、捕虜として生き残ることが許されるのでした。

Otto_Kretschmer.jpg

太平洋戦争も出てきます。最初は米海軍のギルモア中佐。
彼の指揮する潜水艦グローラーは海上で突然、日本艦と出くわします。
激突する両艦。甲板に投げ出され、直接射撃で艦橋では船長のギルモアも倒れます。
生きたままハッチまで辿り着けないことを悟った彼は決定的な命令を・・。
「潜航急げ!」
副長のシェイドは自分の感情に逆らい、この命令に従ってハッチ閉めるのでした。。

Howard W. Gilmore.jpg

「人間魚雷」で有名なイタリア海軍からは、ルイジ・D・デ・ラ・ペイーネ大尉です。
ティーゼンハウゼン少佐のU-331が英戦艦バーラムを撃沈し、
地中海のカニンガム艦隊は2隻の戦艦を残すのみ。
そこで戦艦ヴァリアントとクイーン・エリザベスもデ・ラ・ペイーネ大尉指揮による人間魚雷攻撃によって
亡きものにしようとなるわけですが、この話は「海戦 連合軍対ヒトラー」にもありました。
首尾よく任務は成功し、彼は捕虜となりますが、1943年にイタリアが降伏すると、
捕虜収容所から解放された彼は、ドイツ側に拿捕されていたイタリア巡洋艦2隻を攻撃する
英国の作戦に参加することに・・。

ialiansubs001.jpg

地中海で暴れまわる艦長としては英海軍のウォンクリン少佐も印象に残ります。
マルタ島を基地とする潜水艦アップホルダーはロンメルのアフリカ軍団向け貨物船や
イタリア陸軍兵士1300名以上を乗せた兵員輸送船を葬ります。
1941年11月には彼らの活躍により、ロンメルへの補給の実に63%が失われることに・・。
このウォンクリン少佐は、ひょっとすると補給を熱望するロンメルにとって、
モントゴメリーよりもウットーしい、「間接的な宿敵」だったのかも知れませんね。
朝日ソノラマの「マルタ島攻防戦」を持っていますので、近々、読んでみます。

David Wanklyn.JPG

「エース不在の日本海軍」と書かれるなかでも、橋本以行中佐の章がありました。
日本軍人が登場するのが皆無な「独破戦線」でも以前に写真付きで紹介している
個人的に有名な潜水艦艦長ですが、彼はあの「巡洋艦インディアナポリス号」撃沈男です。
1909年生まれの彼は、1927年江田島の海軍兵学校へと入学しますが、
このスマートな紺と白の制服に、装身用の短剣を吊った若い生徒たちは、
下級生を虐める恐るべき制度と、公式に認められていた肉体的暴力に晒され、
西欧の教育概念を異質なものとして受け入れようとしない教育システムに投げ込まれます。

海軍兵学校物語 あゝ江田島.jpg

来日したヒトラー・ユーゲントも「江田島の海軍兵学校は近代化の衣を着けたる
日本武士道の神髄であった」と語っていましたが、ナチス教育を受けた彼らにも
強烈な印象を残したようですしねぇ。
そしてこの学校での苦行を耐え抜くと、士官となった彼らは、服従が確実な死を意味する場合でも、
上官からの命令にじっと従い続けるという、権威に対する従順さが日本海軍の
多くの失敗の原因となっているとして、例えば潜水艦の魚雷の使用も制限されており、
駆逐艦に対しては2発、商船に対しては1発のみという現場を完全に無視したもの・・。

特攻兵器「回天」も使用した彼の伊58 の戦い、通常魚雷によるインディアナポリス号撃沈、
そして戦後、敵巡洋艦艦長の裁判の証言者となるまでが描かれていました。
しかし江田島の海軍兵学校・・、妙に気になりました。
「海軍兵学校物語 あゝ江田島」って映画はどんなもんなんでしょう?
また、「回天」はTVで松方主演の「人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊」を見たことがありますが、
宇津井健主演の「人間魚雷 回天」とか、石原裕次郎主演の「人間魚雷出撃す」とか、
映画が何本も作られているんですねぇ。
ちなみに「人間魚雷出撃す」は、本書の伊58の回天の話のようです。

人間魚雷出撃す_.JPG

著者のエドウィン・グレイは「ヒトラーの戦艦―ドイツ戦艦7隻の栄光と悲劇
も書いている方で、各国の海軍全般にも精通しており、
本書の原題は「戦う艦長たち」というもので、シーマンシップを発揮して戦果を挙げた
これら潜水艦艦長の簡単な人生と最期も1人あたり20ページ程度で語られます。

第二次大戦時のUボート艦長がクレッチマーだけ・・というのはちょっと寂しいですが、
第一次大戦の名艦長や、英国、米国、日本、そしてドイツといった各国海軍の
潜水艦戦についての考え方の違い、それに戦術と各人の個性の違いまでが、
通して読むことによってある程度理解できたと思います。
Uボートについての視野も広くなった気もしますね。

atlantic-battle-U-Boat.jpg

あまり読む気のなかった「スカパ・フローへの道―ギュンター・プリーン回想録」も
amazonではいつの間にか売り切れになってしまっていて、こういうのを知ると、
ついつい読んでみたくなったりしますが、第二次世界大戦ブックスの
「Uボート―海の狼、あの船団を追え」があるのもスッカリ忘れてました。

















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