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1945年・ベルリン解放の真実 戦争・強姦・子ども [女性と戦争]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ヘルケ・ザンダー/バーバラ・ヨール編著の「1945年・ベルリン解放の真実」を読破しました。

最近、偶然見つけたベルリン終戦時における大量強姦を扱った一冊です。
1996年の発刊で、ハードカバー354ページ、定価は5150円という立派なもの・・。
原題は「解放・する者とされる者」で、1992年の同名の映画(日本未公開)の
書籍版のようです。
女流映画監督ヘルケ・ザンダーがその映画のために調査を行ない、
100人を超える女性たちの証言や、おびただしい数の資料から当時ベルリンで発生した
強姦件数、また、それによってどれだけの子供が生まれたのか・・も追及します。

1945年・ベルリン解放の真実.jpg

2部構成からなる本書。まず「PART Ⅰ」では
戦後、ドイツでは終戦前後の強姦がどのように扱われてきたのかを検証します。
1959年に作者不明のまま出版された「ベルリンの女」以外に、この件がメインテーマとして
書かれたものはなく、タブー視されていたという話・・。
これは以前に紹介した「ベルリン終戦日記 -ある女性の記録-」のことですね。

Eine Frau in Berlin.jpg

1937年生まれの著者で映画監督のヘルケや、人々の意識にどれほど深い影響を与えたのかも
著者の友人が子供の頃、いちばん好きだった遊びが「強姦ごっこ」であり、
これは女の子たちが叫び声をあげて近くの森に駆け込んだり、斜面を転げ下りたりし、
それを追いかけ、ついに捕まえた男の子たちがその上に身を投げ出す・・
という話も紹介します。

rape-german-women-berlin-1945-russian-soldiers.jpg

強姦を逃れるため、ベルリンの女性たちがあみだした「防止戦略」は
屋根裏部屋や洋服ダンスに若い女性を隠したり、
育ちざかりの娘の髪の毛を切り、ズボンを履かせて男の子に変身・・。
食料品調達で出かける際には、髪を振り乱して、煤で顔を汚し、
ボロを身にまとい、老婆のようにブツブツと呟いて、ロシア兵の興味を引かぬように・・。

わずか13歳、14歳で、自分に何が起こったのかまったく理解できず、
誰にも相談できずに自殺したりする者も多かったという当時の女性たち。
さらに多くの妊娠した女性の中絶も、ドイツでは以前から禁止されており、
ロシア兵に強姦されたと証明できれば可能であったものの、強姦されたことを夫や彼、
親からも非難されることを怖れ、申告をためらった女性も多かったようです。

Bund Deutscher Mädel.jpg

そんな女性を守るべきドイツ人男性はというと、妻をかばう代償として命を落とした
ベルリンの男が6人いたことは分かっているそうですが、大半は恐怖に脅え、
妻の背後に隠れていた・・として、
彼らが占領地で行ってきた「強制売春」や組織的な強姦についても触れています。

bicycle.jpg

軍用娼家では、捕えられたユダヤ人やポーランド人、ロシア女性が、
ドイツ軍将兵を満足させるために管理され、
慰安勤務の際には、「微笑を絶やさぬこと」という規定も。。
支配民族のドイツ人が満足しなかったとの「報告」が3回になった場合には、
彼女たちは死刑執行場行き・・という過酷な状況です。

そんなドイツ軍に引用するフリードリヒ大王の作とされる格言は次のとおりです。
「兵士のやったことは非難するな
そこで死ぬことになる奴らだ
彼らが欲しがるものを与えよ
飲むにまかせよ、キスするにまかせよ
命がいつまであるのやら、わからんのだから」

ukrainian-people-women.jpg

まだベルリン掃討戦が行われていたときには、ロシア兵たちは敵意は持っていても
女たちが水を取りに行けるように一時射撃を止めたり、パン屋まで行くのを護衛したり、
瓦礫の下に埋まった人たちの掘り出し作業を手伝ったりとしていたそうですが、
戦争が終わると、酔っ払った連中が女性を地下室から引っ張り出して、
子供の前で暴行し、抵抗する男女を撃ち殺し始めた・・というような
様々な記録を本書では紹介します。

german-women-mass-rape-berlin-1945-ww2-russian-soldiers-001.jpg

終戦時の「強姦」は赤軍だけの専売特許ではありません。
フランス軍がシュトゥットガルトに侵攻した際、1200件の強姦があったそうで
警察の報告によれば被害者は14歳~74歳まで・・。
加害者はフランス軍に所属するターバンを巻いたモロッコ兵です。
もちろん、米兵による強姦事件にも触れています。

native Moroccan soldiers in the French Army.jpg

強姦の次に待っていたのは苦痛に満ちた性病と婦人科の手術です。
会陰が肛門まで裂けていた10歳~16歳までの少女たちは縫合を必要とし、
淋病や梅毒をうつされた女性たち・・。
ヴィクトリア学寮では強姦された女性寮長と8人の少女たちが自殺。
ベルリン終戦日記」も数ページ引用しながら、
この最初の、壮絶だった1週間が進みます。

berlin 1945 .jpg

「大量強姦をめぐる数字」の章では、当初、数万から100万までの幅があり、
特定されていなかったベルリンで強姦された女性の数を検証します。
しかし、まず現行法での強姦の定義が調査を難しく・・。
例えば「ソ連の司令官と寝るか、シベリア送りになるか」の選択で、
前者を選択した場合は「強要」であって「強姦」にはならないそうです。

ともあれ、統計学者や病院記録など様々な角度から検証を行った結果は、
1945年ベルリンにいた140万の女性や少女のうち、初夏から秋にかけて
少なくとも11万人(7.1%)が強姦され、1万人以上が妊娠、
そして1000人以上のロシアの子供が生まれたということです。
また、後に梅毒で死んだ女性も220名ということはわかっているそうですが、
強姦による性病患者の数を特定することは、今日では不可能・・としています。

Red Army soldiers distributing bread to Berlin residents after Germany’s surrender in 1945.jpg

ドイツ国防軍と武装SSが占領地で行った「強姦」の数字も検証しますが、
ここでは数多く出てくる公文書が非常に印象的です。
1943年、OKWの総務部が、SS大将ヴォルフ氏に宛てた「極秘司令」・・、
野戦警察が発見した武装SS兵による強姦事件が多い(18件)・・という報告です。
複数の武装SS兵士が14歳の少女を犯した・・や、
70歳の女性とその娘を9人のSS隊員が強姦し、この行為を認めた首謀者2人は転属させられた・・。
また、ここに出てくる部隊はLAHで、本書では「国防扇形線区軍」と、意味不明に訳されていますが、
まぁ、「ライプシュタンダルテ・アドルフ・ヒトラー」でしょうね。。

ritterkreuztraeger lssah_Ernst Krause.jpg

「PART Ⅱ」は、本書の同名映画の「シナリオ」という一風変わった構成です。
この映画は日本では未公開ですし、おそらくソフトも発売されていないと思いますが、
インタビュー形式の映画のようで、本書でもそのようなQ&Aで進みます。

AMERICAN-SOLDIERS-GERMAN-GIRLS-BERLIN-1945.jpg

地下室にいたウルスラはモンゴル系の兵士3人に次々に強姦されたと語ります。
それが終わると若くドイツ語の喋れる礼儀正しい将校が一人やってきて、
強姦するのはすまないと思うが、やむを得ないと謝ります。

The Mongoloid Soviet soldiers were let loose on the German women.jpg

どうしても強姦されるのが嫌だったと言うヒルデガルトは、
市街戦に身をさらした方がマシとばかりに男装をして国民突撃隊に配属・・。
手榴弾やピストルももらい、捕虜になっても3ヵ月間、女の子であることを隠し通しますが、
結局はスパイであると判断され、尋問される毎日・・。
この話は長いので割愛しますが、最近流行の男装ドラマにでもなりそうな展開ですね。

Mere boys. Perhaps of Hitler Youth. These were the fighters that were defending Hitler in his last days. Sad.jpg

当時、ロシアの少年兵だったイヴァンは、ドイツの女を強姦してはならないと警告されたと語ります。
「ドイツの女のなかには愛国者がいて、進んで赤軍兵士に性病をうつす」という噂で、
「兵士たちは性病をうつされることで、極東に送られないために女を犯した」
コレはちょっと苦しい言い訳のような気も・・。

german-women-abused-second-world-war-soviet.jpg

終戦から2~3週間もすると、ドイツ占領軍の最高司令官ジューコフ元帥が厳しい命令を発し、
ロシア兵が強姦現場で捕まったり、たとえ脅迫でも告発されると銃殺刑に処せられた・・と
そのような目撃例を語る人たちも。

Zhukov berlin 1945.jpg

場所は変わってフランスで10万人の「ボッシュの子」が生まれたという話では、
カトリックの国ではどこでも中絶は厳しく禁止されているための結果でもあったようです。
ここではフランスで最後に「ギロチン台」上がったのが中絶を助けた女性だったとして、
1988年の映画「主婦マリーがしたこと」に触れています。
これは以前に「観たい映画」として紹介している1本ですね。
日本版DVDのパッケージはなんとなく不倫ドラマっぽいですが、やっぱり観てみたい。。

Une affaire de femmes.jpg

また、いわゆる「ナチ協力者」と言われるフランス女性について、マダム・アンリは
「ドイツ軍が進駐してきたとき、ドイツ兵はみんなブロンドで日焼けしていて素敵だ」
と思ったそうで、ただドイツ人に恋した女たちが、解放後、
ナチ協力者」としてヒドイ目に遭わされたのだと証言します。

french-women-tonsured-liberated-paris-1944-8.jpg

この解放されたフランス人の怒りは、武装SS師団「ダス・ライヒ」がオラドゥール村で起こした
600人の村民大虐殺の復讐として、そこにに多く配属されていたかつてのフランス領アルザスの
フロイデンシュタット出身者を探し出し、フロイデンシュタットを焼き払ってやると・・。

oradour SS.jpg

他にも、梅毒症で生まれてしまった子供の話・・。
う~、男が読んだり、こうして書いたりするには、かなりシンドイ内容もありました。
訳者さんも女性ですが、その「訳者あとがき」の最後には
「本書が、手にしてくれた女たちに(そして男たちにも)性差別と人種差別を考える
新たなきっかけになってくれることを・・」と結ばれています。

定価も高いですが、すでに廃刊になっているようです。
コレはモッタイないですね。もっと多くの人に読んで欲しい一冊です。
半分程度に巧く編集して、2000円くらいで再出版できないかなぁ。。。
「ベルリン終戦日記」の映画版である、「ベルリン陥落 1945」も観たくなってきました。







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しゅり

ヴィトゲンシュタインさん、お久しぶりです。
お元気でしたか?

さて、毎度同じセリフを言うのも何だかな・・・ですが
この本!数年にわたり暴落を待っていたりします(笑)。
一時アマゾンで8000円~10000円くらいで
人の足元を見て・・・・と思って悔しい思いをしていました。
その後も5000円台から全然落ちないので地団太を踏んでいましたが
あら、これ結構元値が高い本なのですね。

いつ手に入れれるかわからない私にとっては憧れの本です(笑)。

内容に全然触れていなくてごめんなさい(汗)。

by しゅり (2012-02-14 08:00) 

ヴィトゲンシュタイン

しゅりさん、ど~も。
>この本!数年にわたり暴落を待っていたりします(笑)。
さすがですねぇ。ボクはこの本、つい最近知ったんですが・・。
もともと定価が5000円と高いのが問題ですね。最後にも書きましたが、「PART Ⅰ」と「PART Ⅱ」をマージしたら、半分くらいに圧縮できると思うんですよ。そしてもっと安く再刊する・・。出版社に考えて欲しいです。
ヤフオクでも6000円~っていうのも足元見てますねぇ。。
このレビュー、しゅりさんのコメントが初めてですが、なぜかアクセス数がスゴイので、そんな風に思っている人が多いかも知れません。

by ヴィトゲンシュタイン (2012-02-14 12:24) 

NO NAME

あまりにひどい内容で・・・ 男は女を守るべきなのに と思います。もちろん、たとえ敗戦国の女性でもです。 
by NO NAME (2013-01-04 18:48) 

ヴィトゲンシュタイン

まぁ、酷い話です。。負けた男も、勝った男も、ないですね。そんな歴史を知っとくのも大事ですが、人間って法的に許されるなら、どれだけ動物になってしまうんでしょうね。
by ヴィトゲンシュタイン (2013-01-04 21:05) 

藤原莉子

モニカベルッチのマレーナ、を思い出しました。
昔、ダウンタウンのまっちゃんが、この映画をちくちくする、胸の痛みと評していたようですが、深く頷いてしまいました。
by 藤原莉子 (2015-09-02 22:35) 

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