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第二次大戦の連合軍婦人部隊 [女性と戦争]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

マーティン・ブレーリー著の「第二次大戦の連合軍婦人部隊」を読破しました。

先日の「オスプレイ・ミリタリー・シリーズ」の1冊、「ドイツ軍婦人補助部隊」が
予想以上にタメになりましたので、有言実行で続編である「連合軍」を早速、読んでみました。
こと女性の問題になると、我ながら動きが機敏です。。
定価2415円は一緒ですが、51ページから55ページへと増量・・?
著者は変わって、軍事写真家であり、長年、軍装品の蒐集もしている方だそうです。

第二次大戦の連合軍婦人部隊.jpg

「序章」では有史以来、19世紀まで戦いに赴く兵士たちは、
従者や妻を引き連れていくのが習わしだった・・という話から、
第1次大戦開戦当初の英国が、軍隊への女人禁制となり、長引く戦いで
甚大な損害を出してから、後方の事務員やコックが女性に取って変わられた・・という話まで。

Auxiliary Territorial Service cook.jpg

紆余曲折を経て英国陸軍の婦人部隊「国防義勇軍補助部隊(ATS)」が1938年に編成され、
いざ開戦となると、対空砲兵隊に女性も配属されます。
しかしATS(アッツと呼ぶそうです)向けの装備は間に合わず、
とりあえずは男性用戦闘服でガマンすることに・・。
チャーチル首相の末娘もこの対空砲部隊に勤務していたことなども写真で紹介。
1942年には女性の徴集が承認されると、翌年に女性兵力は21万名もと膨れ上がります。

ATS AT AN ANTI-AIRCRAFT GUN SITE IN BRITAIN, DECEMBER 1942.jpg

海軍の「英国海軍婦人部隊」、通称WRNS(レンズ)も1939年当初は事務職、
自動車輸送部、調理部、伝令などに配属されていたものの、
最盛期には7万名を超え、水兵として通貨船、沿岸水路警備艇などにも
乗り込んでいたそうですが、これら船舶乗組員はわずか500名強です。

WRNS Sally.jpg

「空軍婦人補助部隊」、通称WAAF(ワフ)も徐々に規模は大きくなり、
終戦時には英国本土の空軍兵力の22%である、18万名にも達したそうです。
職種も75種類にも及び、レーダー地図の標識員から、阻基気球繋留隊員まで・・。
しかし、ここまで写真は多いですが、制服と階級章などにはあまり説明はなく、
「キャプションとイラストを見ろ」といった感じです。

elizabeth-oats-as-waaf.jpg

米国では「陸軍婦人補助部隊」、通称WAAC(ワック)の成立は困難だったようで
ジョージ・C・マーシャルまでもが婦人兵導入構想について激しい非難を浴びますが、
1942年5月、参戦5か月後になってようやく発足。

WAACs UniformFirst3.jpg

翌年には正式に米軍に所属することとなり、名称からも「補助(Auxiliary)」が取れて
「陸軍婦人部隊(WAC)」となります。
職種も150以上に渡り、ヘルメットもかぶり女性用の戦闘服も作られますが、
ロング、レギュラー、ショートの規格サイズだけで、
女性として重要なバストやヒップのサイズは当初、全く考慮されず・・。

Women’s Auxiliary Army Corps.jpg

このWAACについては制服と徽章などがある程度述べられており、
特に士官用の帽子は「モンキーハット」と揶揄された挙句、そのデカイ鷲章も不恰好なことから、
「歩くガチョウ」やら、「歩くアホ鷲」と呼ばれたそうです。
ヴィトゲンシュタインに言わせれば「ペギラ」以外の何者でもないですが。。

Women's Army Auxiliary Corps chocolate brown hobby hat, 1942.jpg

続いて、その他の西側諸国。
カナダやオーストラリア、南アフリカ、インド、ニュージーランド、ビルマと
英連邦軍の婦人部隊が紹介されます。
そういえば「輸送船団を死守せよ」のヒロインは、カナダの女性補助部隊でしたね。

Canadienne des HMCS.jpg

真ん中には「ドイツ軍婦人補助部隊」と同様、表紙のようなカラーイラストが8ページあり、
24人の制服の婦人補助員が登場します。
ちなみに表紙の3名は左から「ハワイ勤務の米国海兵隊婦人予備部隊の伍長」、
「WAAF上等兵」、「カナダ海軍補助部隊の水兵」です。

Pilot trainee Shirley Slade she sits on the wing of her Army trainer at Avenger Field, Sweetwater, Texas, July 19, 1943..jpg

後半には「ソヴィエト連邦」の章がありました。
ソ連において女性が前線で勤務したことは、この「独破戦線」でも何度か紹介していますが、
本書によると、陸軍においては前線の医療部隊のうち、40%が女性で占められ、
1945年には、控えめな概算でも80万名・・、陸軍総兵力の約10%が婦人兵ということです。

soviet women.jpg

そして西側連合軍とは違い、機関銃兵、戦闘工兵、伝令オートバイ兵に
戦車や自走砲の乗員としても活躍。
これらは男女混成部隊であって、男女は完全に平等だったそうです。
また、なんと言っても「狙撃兵」が良く知られていますが、
確認戦果309人のリュドミラ・パヴリチェンコ中尉も紹介されています。
ただし、個人的にこの「戦果」は、眉唾モノだと思っていますが・・。

Lyudmila Pavlichenko_3.jpg

ソ連陸軍航空隊では、「スターリングラードの白薔薇」リディア・リトヴァクも紹介されますが、
「ソヴィエト連邦」の章、全部合わせても2ページだけ・・ちょっと残念でした。

最後は「外国人義勇部隊」。
なんだか武装SSを彷彿とさせる章ですが、これはドイツ軍占領地の亡命軍ですね。
政府が亡命した英国で編成された自由ポーランド軍には
独自の婦人補助部隊(PSK)があり、制服こそATSのものを着用しますが、
「POLAND」の肩章と、ポーランド鷲を襟と帽子に付けています。
そして西側連合軍とは違い、婦人兵の火器携帯を禁止する規則がなく、
歩兵用兵器の操作訓練も受けたそうです。

pomocnicza stuzba kobiet.jpg

フランスも自由フランス軍の婦人義勇兵が存在します。
また、解放されたオランダでも王国陸軍が再編され、婦人補助部隊も。
連合軍に勤務するデンマーク人女性は100名を超え、
200名のノルウェー軍婦人部隊も編成されたそうです。

volontaire feminine.jpg

全体的にはボリュームと比較して範囲が広いことや、著者の違いもありますが、
各々の部隊の創設の歴史などが中心で、制服や徽章などについては
「ドイツ軍婦人補助部隊」の方が詳しかった印象があります。
また、「看護補助部隊」には触れられず、これは著者が別の本で取り上げる予定のため、
割愛した・・ということでした。。

ATS Bagpiper Accompanies Sword Dance.jpg

最後のフランス、オランダ、デンマーク、ノルウェーの女性補助部隊の存在を知って思ったのは、
これらの国々の男性が、数は少なくともドイツの武装SS義勇兵として戦っていただけに
戦前、彼氏と彼女だった2人が、運命のいたずらから一方はドイツ軍として戦い、
一方は連合軍の補助部隊員として・・。そして終戦とともに再会・・なんてストーリー、
なかなかドラマチックで良くないですか?



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コメント 2

レオノスケ

ヴィトゲンシュタイン様、こんばんは。
戦争による人手不足は女性の社会進出を促進した面がありますね。
私の米寿に近い伯母は太平洋戦争中、学徒動員で築地の海軍水路部に動員されてたのですが「海軍サンはカッコよかったわよー」が今でも口癖です。何しに行ってたんだか・・・。そのためか戦後は商社でバリバリのキャリアウーマンになってましたが。ただ学徒動員の映像を見ると涙を流してましたね・・・。同世代の男性は根こそぎ戦死してしまったそうで、ついに独身のままです。
日本では婦人部隊ってのは無かったんでしょうかね。

by レオノスケ (2012-01-21 21:29) 

ヴィトゲンシュタイン

ど~も。 レオノスケさん。
本書とドイツ軍婦人補助部隊は、ビックリするくらい勉強になりましたが、このような本がもっと出版されていても良い気がしますねぇ。
>戦争による人手不足は女性の社会進出を促進した面がありますね。
なるほど・・。今回、2冊を読んで、やっぱり国ごとの女性に対する文化などが、どれだけ女性を動員し、しかも戦闘員としたか、しないか・・などもある程度理解できました。基本的には東ヨーロッパほど、「する」感じですね。
>日本では婦人部隊ってのは無かったんでしょうかね。
これはどうなんでしょうか??
ボクの知っている限りでは有名な沖縄の「ひめゆり学徒隊」 を思い浮かべますが、彼女らが純粋な婦人部隊なのかは、また、他にも同様な「「ひめゆり」がいたのかは勉強不足で・・。


by ヴィトゲンシュタイン (2012-01-21 22:30) 

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