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ベルリンの戦い -総統ヒトラー廃虚に死す- [第二次世界大戦ブックス]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アール・F.ジームキー著の「ベルリンの戦い」を読破しました。

第二次世界大戦ブックスのいわゆる「最終戦」・・、
副題からは「ヒトラー最期の・・」系統のようにも思いますが、メインはそうではなく、
この「独破戦線」で以前に紹介した、ヴォルフガング・パウルの「最終戦―1945年ドイツ」と
アントニー・ビーヴァーの「ベルリン陥落 1945」、
コーネリアスライアンの「ヒトラー最後の戦闘」と同系統になります。
著者は元米海兵隊員で、米陸軍省戦史部勤務の戦史家という肩書・・、
翻訳は加登川 幸太郎氏。久しぶりの最終戦なので楽しみです。

ベルリンの戦い.jpg

第1章は「ベルリンのはるかかなたで」と題して、1944年6月にノルマンディに上陸した
英米連合軍がベルリンまで1050㌔、片やソ連軍は1200㌔と、ドイツに対する脅威は、
戦略的に見て、まず対等という話。そしてフランスでの戦いとヒトラー暗殺未遂事件が紹介され、
東部戦線ではバグラチオン作戦の大攻勢の前に、10月までにはルーマニアやブルガリアが降伏、
フィンランドも同様となってドイツ第20山岳軍団が撤退。
北方軍集団もクーアラントに押し込められてしまうという状況。

German cavalry in Southern Bulgaria.jpg

年も明けた1945年1月12日、再びソ連の大攻勢、ヴィスワ・オーデル攻勢が始まり、
ドイツ第48装甲軍団はバラバラに粉砕され、参謀総長グデーリアンの要請によって
西部のSS第6装甲軍を東部に移すことをヒトラーは決定しますが、
それらはブダペストの油田保持に送られてしまいます。
さらにはヴァイクセル軍集団司令官には、ヒムラーが任命されるという悲惨な事態・・。

Guderian77.jpg

このあたり、1941年のバルバロッサ作戦から続く、ドイツの3個軍集団の名称変更について触れ、
北方軍集団はクーアラント軍集団、中央軍集団が北方軍集団へ、A軍集団を中央軍集団と
ヒトラーが改称したことを「なんの利益があるとも思えず、ただ後世の戦史研究者を混乱させるだけ」
と著者はクレームをつけますが、コレは確かにややこしいんですよね。。

3月20日、グデーリアンの退任勧告に喜んで応じた軍集団司令官ヒムラー。。
後任にハインリーチが着任するといよいよ「最終戦」らしい雰囲気がプンプンしてきます。
ヴィトゲンシュタインが「最終戦」の将軍を一人挙げろと言われれば、「ハインリーチ!」と即答します。

heinrici.jpg

バラトン湖での「春の目覚め作戦」もしっかりと紹介され、南方軍集団のその後の運命も
見えてきますが、ベルリン中心の本書では脇役扱いですね。
また、ナチスがアルプス要塞で徹底的に防戦することを心配するアイゼンハワーの様子や、
スターリンの戦術も交互に紹介し、防戦一方のドイツ軍だけではなく、
英米ソの首脳のベルリンと戦後を見据えた戦略もかなりしっかりと書かれています。
特にブラッドレーが払わなければならない損害を憂慮し、「いずれにせよ"都"は他のヤツラに
やらなくてはならないのだから・・」と語った話など・・。

Deutscher Volkssturm.jpg

4月、東プロイセンに侵攻したソ連軍。
ケーニッヒスベルクの周辺に4個軍を展開し、数千㌧の爆弾と焼夷弾の雨を降らせます。
要塞守備隊指揮官のオットー・ラッシュ将軍は「最後の一兵まで戦え」の総統命令のもと
6個師団でひたすら立て籠もりますが、「みんな死ぬまで頑張るのだ」と激を飛ばす
東プロイセン総督エーリッヒ・コッホはさっさと逃げる準備を・・。
もはや救援は見込めず、弾薬も尽き、数千人の将兵や市民のことを考え、
降伏を決意したラッシュ・・・。ヒトラーは欠席裁判で絞首刑を宣告します。

General_der_Infanterie_Otto_Lasch.jpg

ベルリンの東地区を守るテオドール・ブッセの第9軍の兵力は14個師団。
それに対するジューコフのソ連第1白ロシア方面軍は11個軍です。
1個軍と1個方面軍を比較するのも悲しいですが、この方面軍の内訳は、
狙撃77個師団、戦車、機械化7個軍団、砲兵8個師団というもの。。

第9軍の左にはマントイフェルの第3装甲軍が・・。こちらは11個師団ですが、
ロコソフスキーの第2白ロシア方面軍も8個軍で狙撃33個、戦車・・もういいですね。。

ovetskii_tank_tipa_is-2_u_reihstaga.jpg

そしていよいよジューコフの攻撃が満を持して始まります。
ゼーロウ高地を占領すべく、新兵器の探照灯でドイツ守備隊の目を晦まそうとするものの、
泥と煙と暗闇のなかで互いにぶつかり合い、大混乱となるソ連軍。。
この自爆的な話はどんな本で読んでも面白いですが、本書では
ビクビクして何が起こったのか理解できなかったドイツ軍が、ソ連軍に体勢を立て直すゆとりを
与えてしまった・・としています。

podgotovka_plana_berlinskoi_operacii__sleva_napravo_telegin_k_f__jukov_g_k__malinin_m_s__varennikov_i_s_.jpg

ヒトラーが振り回された「シュタイナー軍集団」は第25装甲擲弾兵師団など、3個師団だそうですが、
ここに珍しい第4SS警察師団が含まれていました。ふ~ん。そうでしたか。
なにかに書いてあったかも知れませんが、忘れてました。

cuff-wss-polizei.jpg

第9軍の北翼を援護する予定のヴァイトリンクの第56装甲軍団は、ヒトラーの勝手な命令で
ベルリンの南東地区を防衛する任務を与えられ、ヴァイトリンク自身も
全ベルリン防衛司令官に任命されてしまいます。
これによって完全に孤立してしまったブッセの第9軍・・。
すでに砲弾は使い果たし、小銃によって西への脱出突破を図ろうとハインリーチに語り、
「これは犯罪だ・・」とハインリーチは、すぐさま第12軍のヴェンクに電話をかけます。
「"古い仲間"のブッセを救い出さなければならないぞ」

Busse_Goebbels.jpg

しかし約束されていた第9軍への空輸補給は総統の立て篭もるベルリンへと変更され、
最高司令部の責任を問い、口論するハインリーチとOKW作戦部長ヨードル・・。
マントイフェルの第3装甲軍も崩壊し、カイテルから解任されるハインリーチ・・。

2b7239cb6012.jpg

遂にベルリン市内に突入し、本書の表紙のように国会議事堂を目指すソ連軍。
しかしベルリンは「要塞」などではなく、そこで行われた「ベルリンの戦い」は
単なる「掃討戦」でしかありません。

4月24日にベルリンから呼び出しを受けて到着したSSの将軍クルーケンベルクは、
彼が連れてきたフランス人義勇兵から成る第33SS師団シャルルマーニュ
決死隊90名のほかに、指揮すべき北方の外国人義勇兵中心の第11SS師団ノルトラント
わずか1個大隊の兵力なのに驚きます。
ベルリン地区司令官を任されても、地下鉄の車両に設置された司令部には
電話もなければ電灯すらありません・・。

11. SS-Freiwilligen-Panzergrenadier-Division Nordland.jpg

ヴァイトリンク指揮下のミュンヘベルク装甲師団は戦車を10両をもって
「歩兵の増援」として送られてきた国民突撃隊とともに防衛戦を繰り広げ、
地下鉄のアンハルター駅にいるノルトラント師団と合流します。
地下のプラットホームには司令部だけではなく、女や子供、負傷兵などがいっぱい。。
しかしソ連兵が地下鉄を通って前進するのを防ぐため、運河の壁を爆破したことから、
トンネル内に水が流れ込み、子供や負傷者を置き去りにしたパニックが発生します。

Fighting the last vestiges of German resistance in the Berlin subway.jpg

ヒトラー最後の希望、ヴェンクの第12軍でもクラウゼヴィッツ、シャルンホルスト、
テオドール・ケルナーといった将校訓練学校の将兵たちで編成された青年師団などで
反撃を試みますが、24㌔前進するのが精一杯・・。ベルリンはまだ30㌔の彼方です。

battle-berlin_12.jpg

5月1日、SS部隊がナチのシンボルであるかのように守っていた国会議事堂が陥落し、
同様に、そのように思っていたソ連軍が赤旗を掲げます。
戦車を5両残したミュンヘベルク装甲師団はティーアガルテンで戦い続けますが、
ヴァイトリンクがソ連のチュイコフ将軍に降伏したことで、彼らは西への脱出を決心します。

The Reichstag burns.jpg

相変わらず第二次世界大戦ブックスはこの200ページ程度のボリュームと
タップリの写真が掲載されているにも関わらず
(米軍に投降したルントシュテットの写真なんか初めて見ました・・)、
本書も1944年からの流れと、ドイツの各軍集団や軍ごとの戦いの様子、
攻める東西連合軍と、ベルリンの将来を見据えた政治的駆け引き、
さらには、「総統ヒトラー廃虚に死す」までを実にバランスよく、まとめています。

battle-berlin German children have these 'toys' to play with.jpg

最初に挙げた「最終戦」を扱った3冊も、名著と呼べるものですから、今回読みながら、
「あ~、このシーンはアレに詳しく出てたな~」と再読したくなりました。
第二次世界大戦ブックスはヤフオクで綺麗なのが1冊200円で出たので、
まとめ買いしてしまいましたから、月に1冊ペースで独破していく予定です。



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