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制服の帝国 -ナチスSSの組織と軍装- [軍装/勲章]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

山下 英一郎 著の「制服の帝国」を読破しました。

去年の10月に発売された792ページで6195円という大作版「制服の帝国」です。
著者による大判の写真集「制服の帝国」は、「アルゲマイネSS」と「武装SS 」の2冊が
出ていましたが、すでに廃刊となっていることから、出版社も変え、
ハードカバーとして集約した「総集編」ということです。
amazonなどでは「シリーズ3部作を・・」と書かれていますが、もう一冊は
以前にココでも紹介した「SSガイドブック」のことでした。
しかし、これが「制服の帝国」のシリーズだったとは知らなかったなぁ・・。

制服の帝国.jpg

この重たい本書を開くと、まずオットー・ギレSS中将とフーゴ・クラースSS大佐の
カラーのポートレートがお出迎え・・。
そして6ページほど肩章、襟章、カフタイトルなどがカラーで紹介されます。

Hugo Kraas9.jpg

第1部は「SSの組織」で、「SSガイドブック」が丸々収められています。
これは1997年の出版ということもあり、当時の間違いの修正や加筆も行っているようで、
今回、「SSガイドブック」と読み比べてみましたが、ページ数も数10ページ増えています。
特に「アインザッツグルッペン」に関する章も大分、加筆されていました。

写真もほとんど一緒ですが、来日したヒトラー・ユーゲントと交換で訪独した
「大日本青年団」の写真などは、さすが日本人の著者によるもの・・といった感じですね。
ドイチュラント連隊がダブルのSS夜会服を着てダンスをしている写真も好きです。
この第1部だけで350ページもありますが、この内容については
SSガイドブック」のレビューをどうぞ・・。

Hugo Kraas,LAH_gesellschaft anzug.jpg

第2部、「写真で見るアルゲマイネSS」は、「制服の帝国―アルゲマイネSS写真集」と
同じ内容なんだと思いますが、この「一般SS」とも呼ばれる黒服のSS隊員たちの写真と
その解説はなかなか勉強になりました。
それは著者が「ナチス・ドイツの制服にはすべての機能が付随しており、個人の権限や
位置づけを示しているものは軍装(制服)なのである」ということから本書のタイトルが
付けられたと言うように、一枚のなんてことない無名なSS隊員の写真でも
その軍装や徽章にまで、実に細かく分析しています。

Unity Mitford SS.jpg

終戦も近くなって編成された武装SSの超マイナー師団の襟章などに興味もあって
結構、勉強していたものの、SSの元祖で中心でもあるこのアルゲマイネSSの
襟章については、実は良く知らなかったことに、自分でも驚きました。
例えば、左襟は階級章ですが、右襟は「SSルーン」ではなく、
各連隊ごとの番号が振られていたりとか、
その大管区の番号の書かれたカフタイトルをしていたりとか・・。

Allgemeine SS.jpg

有名人も「キング・オブ・アルゲマイネSS」ことハイスマイヤーに、
ハンス・アドルフ・プリュッツマンといったSS大将連中。
ゲシュタポのミュラーと人事局長シュトレッケンバッハの両SS中将が語り合う写真や
バルコニーで談笑するSD隊員のなかにもシェレンベルクSS少佐が写っていたりして
これらの写真のほとんどが未見のモノでした。

Hans-Adolf Prützmann meets with Heinrich Himmler in the Ukraine.jpg

第3部「写真で見る武装SS」は、第1章の「オリジナル写真で検証する階級と軍装」が
またまた楽しめました。
SS二等兵から写真で軍装を詳しく紹介するんですが、ここでも初期のSS隊員が多く、
武装SSが編成される前の「ライプシュタンダルテ」や、いわゆる「SS-VT」、
そして「髑髏部隊」の襟章の違いが良くわかります。

一般的な「SSルーン」を付けられるのはエリート連隊である「ライプシュタンダルテ」のみ。
SS-VTのドイチュラント連隊は「SSルーン」の中に数字の「1」を入れた「SS1」、
「SS2」がゲルマニア連隊です。

1. SS-Standarte_Deutschland.jpg

「髑髏部隊」はトーテンコープフの襟章ですが、このドクロが左向きだと武装SS師団であって、
右向きは強制収容所警備部隊だということです。
また、左向きといっても水平と垂直があって、これも当初は垂直ドクロであったことから
「古参兵」は垂直ドクロを着用し続けたとか、さらに両襟ドクロもあったりしますし、
前線から警備部隊に戻ってきたりなどというパターンも考えると、
一概にこの襟章だけでは判断できそうもありませんね。

totenkopf tabs 2.jpg

各階級の将軍ではシュタイナーSS中将やゼップ・ディートリッヒSS大将などが
登場してきますが、あるSS准将が唯一付けている勲章が見たことのないもので、
これは「ドイツ赤十字社会奉仕章」というものだそうです。
初めて知りましたが、良く書かれていますねぇ。
この勲章とSSの将官というアンマッチがなんともいえません。。

Ehrenzeichen des Deutschen Roten.jpg

また、デメルフーバーSS中将の紹介文は笑えました。
「古参」のうえ、ドイチュラント連隊やゲルマニア連隊の連隊長を歴任したものの、
ノルト」の臨時師団長を勤めた程度で、外地駐屯の武装SS司令官という閑職ばかり・・。
かつての同僚や部下であるシュタイナーやギレ、ビットリッヒらが軍団長となり、
騎士十字章を受章しているのに比べ、喉元を飾るのは、
お情けで貰ったフィンランドの「自由解放勲章一級」であり、かなりイタイ・・。

Demelhuber.jpg

ただ、「第2部」からは写真が縦向きから、頻繁に横向きになったりするので、
本も横にしたりとちょっと大変でした。1ページにフルフルの写真ですから
そのほうが大きくなるのはわかりますが、なんせ、この本は重たいんで・・。

その他、SS戦争報道部隊である「クルト・エッガース連隊」が詳しく解説されたり、
製パン中隊や野戦食の味見や配給の様子など、既存の武装SSものでは、
なかなか紹介されないところにも光を当てています。
それはやはり「制服から歴史を読み取ろう」とする本書のあり方であって、
ただの軍装モノだけでもなく、SS興亡史としても成り立っている・・という感じを持ちました。

Young crowds greet Hitler at Fallersleben Volkswagen Works cornerstone ceremony.jpg

なお、著者の「制服の帝国」という本は3月にも「シリーズ 制服の帝国 -ナチスの群像-」
というのが上下巻で発売されていて、これは全く別のもののようですが、
重複している部分も多少はあるのかも知れません。
また「ナチ・ドイツ軍装読本」も「増補改訂版」が出ましたが、テーマ的にどこまで違うのか、
ちょっと悩みどころですね。















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コメント 2

IZM

こちらの本は解説付き写真集という感じなのでしょうか。非常に魅力的ですが、もしこれを買ったら家族にどんな顔をされるのか、想像するだに。。。。orz
とりあえず文庫の「武装親衛隊―ドイツ軍の異色兵力を徹底研究 」当たりから始めたいと思っておりますが。
「幻影―ヒトラーの側で戦った赤軍兵たちの物語」はタイトルからして面白そう!ですね。ソ連にも当時色んな思想の方がいたのですね。
by IZM (2011-06-20 00:53) 

ヴィトゲンシュタイン

おぉっと、スイマセン。写真集って書いてなかったですねぇ。
「制服の帝国」=「写真集」と思い込んでいたので(本書は副題からも「写真集」が外れたし・・)。。
また、内容的にはかなりマニアックですから、写りのよい写真より、不鮮明でも珍しい写真に重きが置かれています。
その意味では「武装親衛隊―ドイツ軍の異色兵力を徹底研究 」はちょうど良いかもしれませんね。

「幻影」という本はこのBlogでも何度か登場したウラソフ将軍に代表される、反スターリン体制のソ連の軍人に関するもので、それは、かつての帝政復古やウクライナなどの独立を目指したもの・・ですね。
なにかすぐに読むのはもったいない1冊です。。

by ヴィトゲンシュタイン (2011-06-20 12:18) 

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