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父の国 ドイツ・プロイセン  [女性と戦争]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ヴィプケ・ブルーンス著の「父の国 ドイツ・プロイセン」を読破しました。

「プロイセン」関連の本を探していたときに、偶然見つけたのが本書です。
このタイトルからはわかりませんが、1944年7月20日のヒトラー暗殺未遂事件
関与したかどで、処刑された父の姿が映った裁判のフィルムを偶然見た著者が、
大量に保管されていた父、母、祖父、祖母の手紙や日記を読み解きながら、
自身のプロイセン一家と、その時代を掘り下げていくというものです。
著者のヴィプケ・ブルーンスはドイツのジャーナリストであり、表紙の可愛らしい女の子です。

父の国ドイツ・プロイセン .jpg

ベルリンの南西に位置するハルバーシュタットに1790年に設立した
IGクラムロート商事会社が代々、息子に継がれていくクラムロート一族の歴史から始まります。
祖父のクルト・クラムロートが19世紀末に一族の中で初めて軍務についた話では
当時のプロイセンと軍隊や貴族の関係を知ることが出来ました。
商人の地位は貴族や学者、将校団の間に埋もれていて、クルトは
ザイドリッツ第7甲騎兵連隊に入隊し、ようやく「予備役少尉」に昇進します。
本来この「予備役少尉」というのは高貴な生まれを意味し、貴族しか許されなかったそうで、
この称号を手に入れたクルトは、やっと大農場の男爵などへの営業も可能になるわけです。

Dragoner Regiment.jpg

第1次大戦が勃発すると、「予備役騎兵大尉」となっていた祖父クルトも出兵し、
16歳の息子(著者の父)ヨハネス=ゲオルクもその時を待ちわびます。
そして1916年、ケーニッヒスベルクの第1竜騎兵連隊に入隊できたヨハネス=ゲオルクも
ロシア戦線に向かいます。
それにしても著者はルーデンドルフをボロクソに言ってますが、いまのドイツでは
一般的にそういう評価なんですかねぇ。

Erich Ludendorff.jpg

この「ヨハネス=ゲオルク」ですが(英語読みすると「ジョン=ジョージ」ですね)、
ヨハネスはドイツでは一般的に「ハンス」と呼ぶそうで、
本書でもハンス=ゲオルクになりますが、これでは長いので「HG」と記載されています。

ただ、頻繁に出てくるこのハーゲーと発音する「HG」ですが、
どうしてもヘルマン・ゲーリングを思い浮かべてしまいました。
これはヘルマン・ゲーリング戦車師団を「HG師団」などと略して書いてあることが
多いからですが、そうじゃないんだ・・と無理やり考えると、
別の「HG」・・、すなわち「レイザーラモンHG」が頭の中にしつこく登場。。。

ちなみにレイザーラモンHGは人気は下降線ですけど結構好きです・・。
別に自分がハードゲイだからではなく(以前に書いたようにホモ嫌いです)、
「QUEEN」が好きだったからなんでしょうね。
昔、フレディ・マーキュリーはあんな格好してましたから・・。

Freddie Mercury.jpg

とにもかくにも終戦を無事に迎えた親子は、過酷なヴェルサイユ条約と
戦後の大混乱のなかで一族の伝統ある会社を再び、軌道に乗せるため、
また、息子の「HG」は後継ぎとなるため、商人としての修業の毎日です。
商売を学ぶためアメリカへも渡航し、デンマーク人の娘エルゼとも結婚。
1923年には長女も誕生します。

ステーキが1兆マルクというこの超インフレ時代、政治もエーベルト大統領の死去に伴い
ヒンデンブルクが登場し、各党乱立のなかでヒトラーものし上がってきます。
1931年には好奇心から親子でベルリンでのゲッベルスの演説を聞きに行き
その感想は「お笑い種の集会、父も同様に拒否」というもの。
しかしヒトラーが政権を握ると、早々にナチ党へ入党し、さらにはエリート軍事団体のSSで
騎馬部隊を作ろうと、第4予備役突撃隊大隊第21隊のリーダーにもなってしまいます。

goebbels.jpg

結局のところこのナチ政策のために、商売はうまくいかず、多忙のために
ナチ党とSSからは身を引く「HG」ですが、13歳になった長女は「BDM」のグループリーダーとして
600人の少女団体も率い、ニュルンベルク党大会も「すごい!!!」と興奮しています。

German Girls Alliance at Nuremberg Rally.jpg

1938年のアンシュルスは、ドイツ、オーストリア双方の国内を歓喜させますが、
ノルウェーの新聞からその一節を紹介しています。
「これがオーストリア人にとって強姦であるなら、オーストリア人は強姦されるのが好きなのだ」
また、この年、著者であるヴィプケも電光石火の出産で生まれますが、
母親のエルザが「母親十字章」を受けたことを誇らしく思っていたことに触れ、
「繁殖用牝馬として顕彰されたようで、なにか変だなとも思っていたようです」。

Anschluss 1938.jpg

このような成功を収め、絶大な人気を誇るヒトラーによって第2次大戦が始まります。
ポーランド戦では騎兵中隊を率いる「HG」。ポーランド軍の防戦に遭って
大損害を被りますが、ワルシャワの破壊ぶりと市民の苦しむ姿にショックを覚えます。

Polish_kid_in_the_ruins_of_Warsaw_September_1939.jpg

翌年のノルウェー、デンマーク占領に向け、OKW(国防軍最高司令部)へ転属となった「HG」は
穀物商人の身分でコペンハーゲンに送られます。これは彼がデンマーク語に堪能で
商売柄、知り合いも多いということによるものですが、早い話、カナリス提督の
国防軍防諜部(アプヴェーア)の作戦ということですね。
このデンマーク占領当初の、他国とは一線を画したナチス・ドイツの政策も
なかなか詳しく書かれています。

danish_king_christian_x_in_copenhagen_1940.jpg

やがて対ソ戦が始まると、北方軍集団に属する「第3防諜隊」の責任者として
第1次大戦での従軍時覚えたロシア語を駆使して、捕虜やパルチザンの尋問にも当たります。
一方、残された家族は、補給の受けられなくなったロンメルの現在地、
地図でマルサ・マトルー探しを子供たちも一緒になってやったりしています。

1943年、スターリングラードで第6軍が壊滅すると「HG」はベルリンへ呼び戻され、
ペーネミュンデのV2ロケット実験施設の機密防護責任者となり、
これを支配下に置こうとするヒムラーのSSと軍需相シュペーアとの陰謀ゲームにも巻き込まれます。

Peenemünde, Start einer V2.jpg

そして迎えた1944年7月。ヒトラーを暗殺しようとする爆弾が破裂し、その爆弾を準備した
またいとこのベルンハルトや国防軍一小柄というシュティーフ少将、フェルギーベル通信兵大将に
シュタウフェンベルク大佐らともわずか10日前に会っていた「HG」もゲシュタポに逮捕され、
フライスラーが裁判長を務める人民裁判によって、ベルリン警察長官ヘルドルフ
外務省情報部のアダム・トロットらと共に死刑判決を受けてしまいます。
その判決理由は「暗殺計画を知りながら密告しなかった」ことによるものです。

Hellmuth Stieff.jpg

西部戦線にいた息子のヨッヘンは「懲罰部隊666」に放り込まれ、
「HG」の弟で教育省上級参事官だったクルト・ジュニアは、なんとディルレヴァンガー部隊へ転属・・。

本書は以上のような一族の歴史を手紙などを抜粋し、それに対して、
著者が感想やコメントするといった一風変わった形式をとっています。
若いころの両親の熱い手紙も紹介しながら「まったく、なにやってるの?」と
40歳の子持ちの現代女性の観点で当時を検証しています。
特に父「HG」の記憶がない著者がその姿を発見していく展開は後半には緊張感も帯びてきます。
戦争にだけ特化したものではありませんが、当時の人々の生の声が聞こえてくるようで
その生活や考え方もいろいろと知ることができましたし、最後はちょっと「ぐっ」ときました。。。

Hans Georg Klamroth.jpg

最後に今回どうしても気になってしまった「HG」関連をもうひとつだけ・・。
昔、「クルージング」っていう映画もありまして、HG連続殺人事件究明のため、
ゲイに成りすましたアル・パチーノ扮する潜入捜査官がやがてHGの世界にのめり込んでしまう・・
という、同じフリードキン監督の「エクソシスト」よりもある意味コワい映画です。
久しぶりに観たくなりましたが、DVD売ってないなぁ。

Al Pacino CRUISING.jpg




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コメント 2

IZM

ゲイネタというからどんな本かなと思っていたら、まさかこの本のレビューで。。。。意表を突かれました。Wwwww
この本、チェックしてたんですが、高いな~と思っていました。レビュー読めて嬉しいです。
レイザーラモンHGさん、顔はかろうじて分かるんですがネタを見た事が実は一度もなくてよくわかんないんですね。フレデイーも、白いタイツ姿?みたいなのか上半身裸とかのイメージしかなくて、あのコスだと、ビレッジピープルのYMCAのクリップにあんなメンバーがいたような。。。とかしか言えないダメなワタシです。。。。
「クルージング」ニコ動にあぷされてるっぽいです。。。 似たような内容の、ゲイの連続殺人事件モノ映画を昔見ましたが、タイトルが思い出せず、今悶々としているIZMでした。。。。
良い週末をお過ごしください。
by IZM (2011-06-10 15:52) 

ヴィトゲンシュタイン

メチャメチャなレビューですいません。。
まあ、「独破戦線」は真面目に第三帝国を研究するサイトではなく、あくまで、呑兵衛がやってる読書感想Blogですから、カンベンしてください。
「クルージング」の情報、ありがとうございます。たぶん、コレ観てホモ嫌い(というか怖い)になったんですね。似た映画ってなんだろうなぁ??

>ビレッジピープルのYMCAのクリップにあんなメンバーがいたような。。。

あはは、"ビレッジピープル"なんて名前聞いたの、何十年ぶりだろう??
たぶん同じくらいの時代の"ボーイズ・タウン・ギャング"の「君の瞳に恋してる」が中学生??当時、お気に入りで(入り浸ってた喫茶店の有線で良くかかってたので・・)、5年位前にカラオケで歌ったら、これが大盛り上がり・・。で、どんな連中が歌ってたんだろう・・と動画観たら、いや~、ショックだったなぁ。。今見ても、最高に笑えます。HGっぽい男二人の振り付けが最高で、特にサビの部分は腹痛くなります。。良かったら見てみてください。

http://www.youtube.com/watch?v=GWHZxXuJFzw&feature=list_related&playnext=1&list=AVGxdCwVVULXfuljEP47R0ldkX-jW-4Q8D
by ヴィトゲンシュタイン (2011-06-10 21:09) 

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