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ドイツ装甲師団 [パンツァー]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

加登川 幸太郎 著の「ドイツ装甲師団」を読破しました。

1990年発刊の有名な「朝日ソノラマ」ですが、なぜか今まで持っていませんでした。
まぁ、これは日本人より、外国の著者に目が行ってしまう・・という体質によるものですが、
以前に紹介した名作「ドイツ装甲師団とグデーリアン」と第二次世界大戦ブックスの
スターリングラード」を訳された加登川 幸太郎氏の書かれたものということで
今回、購入し、早速読んでみました。

ドイツ装甲師団.jpg

このタイトルと帯を読む限り、各ドイツ装甲師団の連戦連勝の痛快な1冊をイメージしましたが、
「はじめに」では、本書がドイツ装甲師団の盛衰の様相と、独ソ両国を対比しつつ
その両装甲部隊の興亡の足取りをたどる・・といったものです。

まずはドイツ装甲師団が生まれるキッカケでもある、第1次大戦に登場した戦車から・・。
塹壕戦を打開すべく、英軍が開発した「菱形の怪物」MKI型戦車の登場に、
ドイツ軍が「戦車パニック」を起こすものの、落ち着いてみると
大きな図体で時速6㌔でノソノソやってくるこの戦車は砲兵の良い目標になったという話や、
フランス軍の二人乗り軽戦車ルノーFT17、そしてドイツ軍も大急ぎで作った
18人乗りの怪物、A7V戦車などが写真と共に紹介されます。

Westfront,_britischer_Panzer_A7V.jpg

そして「ドイツ装甲部隊の父」、明治21年生まれのハインツ・グデーリアンの経歴が
簡単に書かれ、彼の交通兵監部時代の上司、オズヴァルト・ルッツに触れ、
グデーリアンが有名すぎて知られていないが、このルッツこそが
「初代のドイツ装甲部隊の育ての親」と評価しています。

General_der_Panzertruppe_Oswald_Lutz.jpg

ここから暫くは、グデーリアンの回想録を度々引用して、この創成期の苦労・・、
花形兵科である歩兵と騎兵や陸軍参謀本部の抵抗・・が語られ、
ヴェルサイユ条約によって1台の戦車を持つことも許されない状況の中で、
自動車にキャンバスを張った模造戦車での野外演習を繰り返すのでした。

s podobnými maketami tanků cvičili Guderianovi vojáci.jpg

一方、トハチェフスキー元帥がソ連の「戦車部隊の父」として紹介されると、
独ソの違い・・ドイツのグデーリアンがせいぜい佐官であるのに対してソ連では、
先見の明があるトップの将軍によって軍の機械化が推進されていった・・ということです。

戦車開発の元祖である英国の状況も解説されます。
ビッカース軽戦車に始まり「クルセイダー」や「マチルダ」など
ドイツ・アフリカ軍団と戦った戦車たちも写真つきで登場。
しかし全般的には、英国は最後までロクな戦車を作ることが出来なった・・という論調です。

続くフランス戦車界も1930年代にルノーFT17に代わってR35やソミュアなど
防御重視で装甲は厚いものの、火力と機動性がなく、そのまま1940年を迎えてしまうのでした。
その結果はご存じのとおりですね。

SOMUA S35.jpg

このようにして各国が機械化していくなか、スペイン内戦が勃発し、
特に独ソは新兵器の実験の場として、戦車部隊派遣します。
しかし、その結果はドイツのⅠ号、Ⅱ号戦車、ソ連のT-26やBT戦車が「役に立たず」という
結論に達してしまいます。

který kdy spatřili... PzKpfw I.jpg

このような低い評価を頂戴してしまったグデーリアンですが、その心配をよそに
ドイツにはヒトラーが台頭しており、オーストリアからチェコに至るまでを
機械化部隊を見せつけながら占領・・・。オマケにチェコでは38(t)戦車まで手に入れて、
軽戦車中心の装甲部隊としては、この優秀なチェコ製戦車は頼りになるものです。

panzer38t.jpg

ポーランド戦が終わっても、まだ全軍的には「補助的な兵種」とされてしまったドイツ装甲部隊。
このドイツの快進撃に慌ててポーランドに侵攻したソ連では、
「ポーランド侵攻」という言葉はなく、「西ウクライナと西白ロシア解放」と都合よく呼ぶそうで、
その後の「フィンランド侵攻」が惨めな結果に終わると、
「無敵赤軍」という思い上がった看板を書き直し、突如、2年間で機械化軍団29個を
編成することを決定・・。その中心となる戦車はT-34とKV重戦車です。

Guderian88.jpg

このあたり、著者の書きっぷりが独特で、思わずニヤニヤしながら読んでしまいました。
例えば「赤軍大粛清」によって、機械化部隊構想が消滅した結果、
「幕下」フィンランドのスキー兵の餌食になっしまった「横綱」ソ連軍・・。
そのうえ、ドイツ装甲部隊がフランスを一蹴するに至って、「シュン」としてしまった・・
といった感じです。

Russian tank soldier in light tank T-26 B surrenders.jpg

ともかく機械化軍団29個を編成するという大計画のためには、
1940年に工場を出始めた新兵器であるT-34を1万3千両作る必要があり、
また「全軍団同時編成完了」という恐ろしい建前によって、
1941年にドイツ軍侵攻された際には、前線の機械化軍団はひとつとして
編成を完了していなかったということで、
ロコソフスキーの回想録から彼の名ばかりの機械化軍団の現状を紹介します。
古ぼけたT-26などの戦車だけではなく、「機械化」のために馬もない・・。
そして紙の上にしか存在しない自動車もなく、迫撃砲などの重火器も担いでテクテク歩くのです。

kol13.jpg

イタリアの装甲部隊についても触れられていますが、著者はこのイタリアとムッソリーニ
なにか恨みでもあるのか・・と想像させるほど辛辣です。
まぁ、第2次大戦に従軍された「中佐」ですから、枢軸の裏切り者・・という心境かもしれません・・。
どんな具合かというと、1940年9月、エジプトのシディ・バラーニに侵攻したイタリア軍が
そこに腰を下ろし、敵国領土内でのんびりと12月まで過ごした・・として、
「いったい、どんな量見であったものか、不思議である」。

続く「ムッソリーニが大いに意気込んだギリシャ侵攻」でも、「その軍隊がまことに不甲斐ない」として
「撃退された挙句、アルバニアに逃げ帰り、さらにこの国の半分ほどを占領されてしまった・・」。
もちろんイタリア戦車も紹介して、イタリア軍最良の戦車と書かれた本もあるという「M-13-40」では
とある戦いで、英国戦車82両が4両の損害だったのに対し、
イタリア軍は新鋭戦車「M-13-40」を含む101両が撃破されたとして、
「こんな戦闘をしていては戦争には勝てない」と一刀両断です。。。

Italian tank crew in front of their M1340.jpg

それとは対照的なのが「敬服に値する」ロンメルとドイツ・アフリカ軍団の戦いざまです。
特に具体的な戦記が書かれているわけではありませんが、
砂漠という思いもよらぬところで戦わなくてはならなくなった彼らの適応能力を賞賛しています。

Rommel_at_Sport_Fest__Alfred_Gause,_Rommel_&_Walter_Neumann-Silkow.jpeg

中盤以降は東部戦線の独ソ双方の装甲部隊戦記となっていきます。
バルバロッサ作戦からキエフの大包囲、モスクワへの「タイフーン作戦」とその終焉・・。
スターリングラード包囲救出作戦。そしてクルスクの戦車戦と一気に続いていきます。

stalingrad_Destroyed Soviet T-34s.jpg

ここでも疎開したソ連の軍需工場の恐るべき生産能力を検証し、特に「ノルマ競争」では、
「ノルマ300%完遂労働者」や「500%完遂」に、「1000%完遂労働者」も出現したということで、
こうした男女の労働者には「ソ連邦労働英雄」や「レーニン勲章」が授与されたそうです。
この「ソ連邦労働英雄」というのは良く知らなかったので、ちょっと調べてみましたが、
位置付け的には、有名な「ソ連邦英雄」の金星記章と同じようです。
軍人と労働者の違いのようで、デザインもほぼ同じ、そして「ソ連邦労働英雄」は中央に
鎌と槌が描かれ、正式には「鎌と槌記章」と言うそうですが、こんなのを3つも4つも付けた、
ジューコフ元帥の如き、スーパー1000%完遂労働者もいたのでしょうか?

Gold Hammer and Sickle Medal.jpg

最後は参戦してきた米軍戦車・・シャーマン戦車や、
それに17ポンド砲(76.2mm)に載せ替えた英軍の「ファイアフライ」なども紹介。
グデーリアンが装甲兵総監として復帰してからはお馴染み、ティーガーパンターも登場。
そして、その後の独ソによる怪物戦車競走として、JS重戦車にSU-122やSU-152自走砲、
ケーニッヒスティーガーヤークトパンター
「大戦中随一の怪物」ヤークトティーガーの駆逐戦車と続きます。

СУ-152.jpg

いや~、読み物として純粋に面白かったです。
特に本書の書きっぷり・・良いものは良い、悪いものは悪い・・といったことをハッキリと書く、
江戸っ子気質のような雰囲気が、自分にはピッタリ合いましたし、
確かに有名な会戦部分はダイジェスト的ですが、
それらが次々と出てくるので、「やめられない止まらない」という
まさに「かっぱえびせん」状態に陥ってしまいました。
この390ページの本書は4年~5年前にに出会っていても、凄く身になってただろうな~と思います。
もちろん今読んでも、疎かった英米仏伊といった各国の戦車紹介はかなり勉強になりました。



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