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狐たちの夜 [戦争映画の本]

ど~も。酔っ払い気味のヴィトゲンシュタインです。

ジャック・ヒギンズ著の「狐たちの夜」を読破しました。

大作「ヒトラーの戦い」の後遺症から未だ抜け出せない日々が続いていて、
ちょっと軽めを欲しがっているヴィトゲンシュタインとしては、久しぶりに小説を選んでみました。
ヒギンズといえば個人的戦争小説No.1の「鷲は舞い降りた」の作家ですが、
本書は以前紹介したシェレンベルクのよりは大分面白い戦争小説で、
第2次大戦モノで言うところの「狐」・・、即ち、ロンメル元帥が絡んだ一冊です。
別に「狼」の次は「狐」・・という動物シリーズを目指すつもりはありませんので・・。

狐たちの夜.jpg

毎日の晩酌は決して欠かさないヴィトゲンシュタインですが、
読書とレビューは基本的に「シラフ」で実行します。
唯一の例外が、「小説」のレビューで、これは過去に「輸送船団を死守せよ」がそうでした・・・。
これは「小説」の場合、極力、細かい内容を書きたくない・・「印象」を書きたい・・
という「素直な気持ちを表現」するための手段なんですが、
その結果の良し悪しは今回も不明です・・。

大まかにストーリーを書いてみると、1944年4月28日、ノルマンディ上陸作戦の実施に向け、
「タイガー演習」を行った連合軍ですが、ドイツ海軍のEボートに攻撃されて、
650人のアメリカ兵を失います。
その中には、極秘情報である「本番の上陸場所と日時」を知る将校も含まれており、
工兵大佐ケルソゥが重傷を負いながらもドイツ軍占領下のジャージー島に漂着。
アイゼンハワーの承認を受けた、主人公である英陸軍大佐マーティノゥがドイツ兵に変装し、
彼の救出に向かう・・というものです。

eboat.jpg

ドイツ人の血を持ち、完璧なナチ風ドイツ語と態度を操るマーティノゥが化けるのはSS大佐です。
しかし、袖のカフタイトルは「ライヒスフューラー・SS」、その上に「SD」のパッチをつけ、
ヒムラーの委任状を持つ・・という最強のSS将校です。

「ライヒスフューラー・SS」とはもちろん「SS全国指導者」、つまりヒムラーのことですが、
カフタイトルでは第16SS装甲擲弾兵師団 「ライヒスフューラー・SS」が有名です。
本書の説明では、この武装SSのものではなく、「ヒムラー直属」という意味で
このカフタイトルは使われます。
確かに「アドルフ・ヒトラー」のカフタイトルも「ライプシュタンダルテ」だけではなく、
ヒトラー直属」の意味を持っていたと書かれたものもありましたね。

SD_RFSS.jpg

とにかくフランス人娼婦に化けたヒロインの女の子と共に
堂々とジャージー島に乗り込んだマーティノゥ。
工兵大佐ケルソゥを匿う、英国人や中立国アイルランドの元IRA闘士、戦争は負けたと知りつつも
未だにドイツ軍と共に戦うイタリア兵、フィンランド人の凄腕パイロット・・と
国際色豊かな人物たちが登場します。

当然、ヒギンズだけあって、主役が連合軍であったとしてもドイツ軍が悪役などということはなく、
主人公が嫌いなのは自らが演じる「ナチ」であって、例えば、島の臨時副司令官の少佐が
一級鉄十字章に銀の戦傷章、そして金の白兵戦章を身に着けているのを見て、
「彼は戦争の英雄なのだ」と好感を持ったりします。
この「英雄」と感じるのが「騎士十字章」ではなく、
「白兵戦章金章」というあたりが実に良いですねぇ。

Nahkampfspange Heer Gold.jpg

ところで「狐」はどうなった??とお思いの方、
主人公とは絡まないシーンでちゃんと前半から登場します。
西方B軍集団司令官のロンメル元帥は、すでに戦争の行く末を案じ、
ヒトラー暗殺を目論むグループと接触。
そのような動きを察知したヒムラーら、ナチ首脳にバレないよう、
フランス占領軍政長官フォン・シュテルプナーゲルと
ベルギー占領軍政長官フォン・ファルケンハウゼンと極秘の会議に挑みます。

Alexander von Falkenhausen.jpg

そこで思いついたのが「替え玉」作戦。ロンメルそっくりの芸を披露した軍曹を自身に仕立て上げ、
各地の防御陣地の視察で練習させますが、ロンメルの副官もタメ息をつくほどの完璧ぶり・・。
このロンメルの各部隊の視察に様子は、本物でも偽物でも、
まさに「ノルマンディのロンメル」そのまんまで、突然訪れる、
ドイツの誇るロンメル元帥の査察に各部隊はてんやわんやです。

Rommel_Friedrich Dollmann 1944.jpg

そして主人公マーティノゥがいるジャージー島にも45分後到着するという連絡が突然入り、
パニックに・・。本来の救出任務を進めるなかで、
ロンメル暗殺・・という千載一遇のチャンスも巡ってきたマーティノゥ・・。
「偽物」vs「偽物」の戦いは・・。
ですが、クライマックスはこのず~と後です。
「偽ロンメル」を殺して終わったら、単なる「間抜け」ですよね。

本書は戦争小説として、いろいろな共通点があることを発見しました。
ひとつ目は、主人公の名前「マーティノゥ」です。
本作でも「珍しい名前だな」と言われるマーティノゥですが、
「輸送船団を死守せよ」の主役の艦長と同じ・・。

Rommel_on_the_Channel_1944.jpeg

展開も、英軍の人間がドイツ人に化けて、ドイツの英雄殺害を目論むなんてのは、
「鷲は舞い降りた」の逆の展開ですし、「訳者あとがき」に書かれている
アリステア・マクリーンの「ナヴァロンの要塞」との比較も、
本書と一緒に買ったのが、まさしく「ソレ」だったり・・。
そういえば「ロンメル暗殺」ということでは「砂漠の狐を狩れ」もありましたね。

正直言って、ロンメルが出てこようが、あまり関係ないほど面白い戦争冒険小説でした。
さすがに「鷲は舞い降りた」には遠く及ばないものの、ヒギンズらしい男のロマンに満ちたものです。

ちなみに原題は「NIGHT OF THE FOX」で、いまこれで検索したら
1990年にTVムービーで製作されていたようです。
ロンメルを演じるのは、英国人のマイケル・ヨークです。聞いたことある名前ですが、
子供の頃観た「ドクター・モローの島」の主演の人みたいです・・が全然、憶えていません。

ERWIN ROMMEL_Michael York.jpg

主演のマーティノゥは「ティファニーで朝食を」のジョージ・ペパード・・。
原作ではヴィトゲンシュタインとほぼ同い歳のマーティノゥが、62歳になってしまいました。。
このパッケージ見ても、ちょっと年寄り過ぎですねぇ。

NIGHT OF THE FOX.jpg

ハイドリヒにしても、シェレンベルクにしても、シュトロープにしても
SS隊員が映画になると平気で20歳くらい歳喰った役者さんになってしまいます。
平時の軍隊では昇進が遅いことから、大佐や将軍が年寄りなのは理解できますが、
戦中や、特にSSは若くしてバンバン昇進してますから、
「62歳のSS大佐」じゃあ、ただの能無し古参党員みたいで、凄味がないですよね。

でも、良い例も思い出しました。
名作戦争映画「遠すぎた橋」です。
ビットリッヒSS中将を演じたのがマクシミリアン・シェルですが、彼は47歳で、
当時のビットリッヒが50歳です。

Maximilian Schell_A BRIDGE TOO FAR & Wilhelm Bittrich.jpg

また、ハルメル少将っぽい架空のルートヴィック将軍を演じたハーディ・クリューガーは
マクシミリアン・シェルより年上の51歳。
本物のハルメルは38歳ですが、まぁ若く見えるし、凄味もあるし、
個人的には映画での武装SS将軍、No.1の雰囲気ですね。

Hardy Kruger_A BRIDGE TOO FAR & Heinz Harmel.jpg



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