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第二次世界大戦 ヒトラーの戦い〈3〉 [ヒトラーの戦い]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

児島 襄 著の「ヒトラーの戦い〈3〉」を読破しました。

ポーランド戦も終わり、宣戦布告した英仏との「まやかし戦争」の真っ只中・・。
ただし、ドイツ海軍だけは英国に対する通商破壊作戦を開始し、
プリーン艦長のU-47は難攻不落のスカパ・フローにおいて見事、戦艦ロイヤルオークを撃沈。
800人以上の犠牲者を出した英海軍ですが、U-47の偉業を賞賛し、
「艦長の勇気と果断に敬意を表する」声明まで発表します。

ヒトラーの戦い③.jpg

この有名なスカパ・フローの戦いはちょっとしたUボート戦記並みに詳しく書かれていて、
その後のポケット戦艦、グラーフ・シュペー号の最期も詳細です。

一方ドイツ陸軍はというと、ヒトラーから指示を受けた西方作戦を絶望視し、
再び、クーデター計画を進めます。
しかしリーダー格であったベックハンマーシュタインもすでに退役・・。
「陸軍総司令官のブラウヒッチュには命令を出す勇気はなく、参謀総長のハルダー
上司を無視して行動する勇気はない」として、
特にハルダーについては「本気でクーデターを決意していたのかも、実は不明である」としています。

Adolf Hitler, Jodl, and Walther von Brauchitsch.jpg

そんな折、勇気のないドイツ将校団をあざ笑うかのようにミュンヘンのビアホール
「ビュルガーブロイケラー」でヒトラーを狙った爆弾が破裂します。
時計職人のエルザーが仕掛け7人が死亡したこの爆弾、ヒトラーは幸運にも
演説を早々に切り上げたために助かりますが、
63名の負傷者のなかには、愛人エヴァの父親が含まれていたそうです。

英国によるノルウェー占領の噂が伝わると、先手を打つ「ヴェーザー演習」作戦が計画されます。
海軍主導の計画ですが、上陸部隊となる5個師団の司令官にファルケンホルスト大将が任命。
しかし「西方作戦が忙しいだろう」とOKH(陸軍総司令部)には何も知らされず、
OKW(国防軍最高司令部)だけで進めるこの計画を知ったハルダーはまたもや大激怒・・。
同様に無視されたゲーリングも「空軍は1機も参加させん!貴様らOKWで勝手にやれ!」
このようなOKWの創成期は主幹がどこかということは大変だったことがよく伝わってきます。
カイテルヨードルヴァーリモントも苦労が絶えなかったようです。

Generaloberst von Falkenhorst mit Schwestern der finnischen Lotta Svard.jpg

盟友イタリアに対して、西方作戦への参戦を打診するヒトラーですが、
ムッソリーニは国内情勢から「参戦を拒否せざるを得ない」との結論に達します。
しかしヒトラーに対しては「参戦には同意するが、その時期を選ぶ権利は保留する」として、これを
「絞首刑目前の罪人が、最期の頼みを聞いてやると言われて、首を吊らされる樹を選ばせてくれ
と言って許可された。そして結局は、どの樹も気に入らぬ・・と言い続けて、生き延びた」
という昔話をチアーノ外相に苦笑しながら語るのでした。。。

Mussolini, Hitler, Ciano, Ribbentrop.jpg

いよいよ1940年4月9日、ノルウェー、デンマーク侵攻の「ヴェーザー演習」作戦が発動されます。
この戦いは海空の興亡史には良く出てきますが、
本書では占領される側の情勢についても詳しく書かれていて勉強になりました。

まず、デンマークは首都攻略のドイツ軍1個大隊の前に無抵抗で降伏・・。
国王クリスチャン10世は「ドイツ人の偉業」を褒め称えます。しかし彼の弟であるノルウェー国王、
ハーコン7世は一転して占領軍に対しての徹底抗戦を呼びかけます。
英軍部隊も上陸して、「ヒトラーの戦争」でもあったディートル将軍がナルヴィクで包囲され、
ヒトラーが「救出しろ!見殺しにはできん!」とヒステリーを起こすと、ヨードルも興奮し
「最高司令官は神経を冷静に保持せねばなりません!」。

Deutsche Truppen im Kampf um Narvik.jpg

また、第2次大戦における英軍との初めての戦いが「リレハンメル」であったというのは
スポーツ好きの自分にとって驚きを与えてくれました。
ジャンプの団体で「原田~!、落ちた!落ちてしまった~!」のリレハンメルです。。
ちなみに金メダルはバイスフロク擁するドイツでしたね。

リレハンメル 原田雅彦.jpg

こうして遂に5月10日、西方作戦、いわゆる「電撃戦」の幕が上がります。
この西方作戦は「黄色」作戦として良く知られていますが、
ベネルクス3国を占領後、フランスを攻略する作戦名が「赤」作戦・・であったというのは
初めて知りました。実はいろいろな本にも書かれていたのかも知れませんが・・。
いわゆる「ダンケルク」後、ライン川からドーヴァー海峡まで展開したドイツ軍が
一気にフランスを南下する作戦の部分です。

Französische Gefangene werden gesammelt.jpg

ポーランド侵攻が「白」作戦、1942年の第2期ソ連への夏季攻勢が「青」作戦、
そして第2巻に書かれていた、チェコへの侵攻作戦計画が「緑」作戦と、
「色」のついた作戦名が多いですが、どうもこれは陸軍参謀本部が策定した作戦が該当するようで、
ノルウェー、デンマーク侵攻の「ヴェーザー演習」作戦や英国本土上陸の「あしか」作戦のように
「色」じゃないものは陸海空3軍合同作戦であり、
主幹がOKHではなく、OKWの場合の作戦名のように感じました。

それはともかく、オランダのロッテルダム爆撃やベルギーのエーベン・エメール要塞攻略と続き、
フランス軍総司令官ガムラン大将が神経梅毒に脳を侵されていて、
不決断、無気力、支離滅裂な言動・・といった話や、
首相レイノーが選んだ後任のウェイガン大将らの内閣と軍首脳のゴタゴタぶり、
さらに英国の大陸派遣軍との軋轢からダンケルクまでが非常に楽しめました。

Deutsche Panzertruppen rollen ohne Widerstand nach Valkenburg (Holland) hinein.jpg

勇敢に戦ったベルギー軍・・国王レオポルド3世が遂に降伏すると、
仏首相のレイノーが「裏切り」と非難。しかしベルギーからしてみれば、
本格的に援助をせず、ベルギーには隠して英仏がグルになって撤退。
土壇場になってさっさと見捨てる、大国の身勝手さ・・。

Einmarsch deutscher Truppen in Brüssel 1940.jpg

それでもとにかく成功したダンケルクの奇跡といわれる「ダイナモ作戦」を総評して
「不屈の「英国魂」の他に、英国の「身勝手さ」、「悪天候」と
ドイツ側の「迂闊」と「誤判断」によって生み出された」と締め括っています。

仏艦隊がドイツに引き渡されることを恐れる英首相チャーチルは「仏艦隊の無力化」を目指し、
「カタパルト作戦」を発令します。
この英空母「アーク・ロイヤル」まで参加した、英仏海戦もほとんど読んだことがありませんでしたが、
仏戦艦「ブルターニュ」が沈没するなど、フランス側の人的損害は戦死1300名にも及びます。

mers-el-kebir.jpg

SDのシェレンベルクが登場する「ウィンザー公誘拐」作戦も詳しく書かれていますが、
もちろん彼の007バリのアクションシーンなどはなく、
双眼鏡を握りしめ、「チッ!」と舌打ちすることに終始しています。。。

「このまま英国との戦争を続けていれば白人種の自殺となる」と語るヒトラーは、
バトル・オブ・ブリテンを空軍にやらせる一方で、対ソ戦を目論み始めます。
このOKH、OKW共同の「バルバロッサ(フリードリヒⅠ世 = 赤ひげ)」という作戦名について
ヴァーリモントは、「赤に対する十字軍」としての意義を持つものと記録しているそうです。

Walter Warlimont.jpg

しかしその前に「ひまわり」作戦の必要に迫られ、ヒトラーはこの指揮官候補を提出するよう
ブラウヒッチュに命じ、その第1候補はマンシュタイン、第2候補はロンメル・・。
総統本営警備司令としても馴染み深いロンメルが選ばれ、窮地に陥っているイタリア軍を救うために
後の「砂漠のキツネ」は早速、北アフリカへ旅立っていきます。

Hitler &  Erwin Rommel in Eichenlaub ceremony.jpg

旅立つ・・といえば、副総裁のヘスがひとりメッサーシュミットで英国に旅立って、
この第3巻は終わりますが、本書では、これがヘスの案だとしながらも、
ヒトラーは「了解していた」と推測しています。

一番面白かったのがギリシャ戦です。
ギリシャ首相コルジスが自殺したこともあってか、降伏の際にも勇戦ぶりを賞賛し同情するヒトラー。
第12軍司令官リスト元帥には「敬意を表して捕虜はすべて釈放」するように命令します。
そして現れ始めたギリシャ軍使は「ドイツ軍だけに降伏する。イタリア軍には降伏しない」と語り、
ヒトラーは「その気持ちはよくわかる」としながらも、もともと勝手に侵攻したイタリアの面子も・・。

German forces in Yugoslavia.jpg

ドイツ軍が救援に来るまで連戦連敗だったハズのムッソリーニはこの情報に怒り狂い、
「イタリアは攻撃を続ける!」と息巻き、逆にドイツの将軍たちは
「イタリアに降伏させるために、降伏したギリシャ軍をもう一度戦わせろというのか」。
ゴネるギリシャ軍とムッソリーニをなんとかなだめては説得するものの、
イタリアは勝手に「ギリシャ軍がイタリアに降伏」と公式に発表・・。
OKW司令部には「汚い!」、「イタリア人は狂ったバカだ!」と怒声が巻き起こり、
カイテルも「もう沢山だ。奴らは手柄を横取りすることしか考えてない・・」。

この調子だと、北アフリカのロンメルの前途は多難ですね・・。



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