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ドイツ軍名将列伝 -鉄十字の将官300人の肖像- [ドイツ陸軍]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

山崎 雅弘 著の「ドイツ軍名将列伝」を読破しました。

以前に読んだなにかのドイツ軍戦記で、「ドイツには将軍が掃いて捨てるほどいる・・」
というような話がありましたが、ドイツ軍を勉強/研究されている方でも
果たして、全ての将軍を知っているのか・・と知れば知るほど疑問に感じる今日この頃です。
本書はそんなドイツ軍の将軍・・。タイトルとその副題に偽りがなければ
300名にも上る、ドイツ軍の名将を紹介した軍人名鑑です。

ドイツ軍名将列伝.JPG

まずは本書の構成から説明すると、表紙を飾る「3大名将」ともいえる、
陸軍の将官が写真とともに1人、8ページで紹介されます。
このメンバーは、グデーリアン、ホト、クライスト、マンシュタイン、
マントイフェル、モーデル、ロンメル、ルントシュテット。

続いては6ページのセカンド・クラスとされている?メンバーで、
ボック、ハインリーチ、フーベ、クルーゲ、マッケンゼン、パウルス、ラウス、
シェルナー、ヴェンクです。
以降は写真もなくなり、4ページの将官、2ページ、半ページと・・。

Guderian, Oberst Graf Strackwitz.jpg

この登場順は各々の紹介ランクのなかでのアルファベット順という
ちょっとわかり難いものですが、
自分は相変わらず、目次を見ずに最初から読破していきましたので、
次は誰かな?と想像しながら、また、写真の載っていない(ほとんどの)将官たちの
顔をどこまで思い出せるか・・などに挑戦してみたりして楽しみました。

本書に登場する「資格」の第一は、当然ながら将官であることです。
しかし戦車連隊長名を成したオッペルン=ブロニコフスキー
フランツ・ベーケなどが突然出てくると「んん?」といちいちビックリ・・。
この「資格」は最終階級なので、佐官時代に大活躍し、終戦直前に少将に昇進した
これらの軍人は、将官としての活躍が評価されているわけではないようです。

Dr-Franz-Bake.jpg

700ページの本書のうち500ページ強という、陸軍の将官がほとんどを占めていて
特に2ペーシから半ページの紹介では、さすがに知らない「名将」も登場しました。
残りの200ページ弱は武装親衛隊、空軍、海軍の名将の紹介です。
武装親衛隊はゼップ・ディートリッヒを筆頭に20名、写真付きはギレ、ハウサーに
クルト・マイヤーの4人という、ちょっと寂しい扱いです。
ビットリッヒやフェーゲラインらの有名人もサラサラっと・・。

Wilhelm_Bittrich_und_Hermann_Fegelein.jpg

ここでも、あくまで「名将」であり、前線指揮官であることが前提なので、
著名な親衛隊の将官であっても、本書の対象外となります。
例えばハイドリヒSS中将やシェレンベルクSS少将などは「武装」ではないので
出てきませんし、ヴァイクセル軍集団司令官も務めた全国指導者ヒムラーも
その事実だけで、とても「名将」として登場することは許されません・・。

これはガーランドから始まる空軍についても同様です。
空軍最高司令官のゲーリング帝国元帥も、ヒムラーと同じく、「名将」とはなりません。
ただ、ここでは爆撃機隊総監を務めた若き将軍、ディートリヒ・ペルツぐらいは
出てきても良いとは思いました。
まぁ、ペルツも名将ではない、と言われればそれまでですが、
あまりにも、陸軍に知名度の低い名将が多すぎる気もします。
カイテルも「名将」扱いなのに、最後の海軍に至っては、
わずか10名しか登場しませんしね。

Hermann Göring  Dietrich Peltz.jpeg

と、全体的に陸軍も含めて、知名度よりも実績が尊重されている本書は、
ヒトラー暗殺未遂事件に関与したことで名の知れた将軍たち、
フロムやオルブリヒト、フェルギーベルも対象外となっています。

Fromm, Speer, Dönitz und Kehrl.jpg

また本書ではその将官の人間性にはほとんど触れられていません。
もちろん、文字数の制約もあるでしょうし、人間味溢れるエピソードなどは
どこまで事実か不明であったり、客観的な評価になりえないといった理由もあるでしょう。
なので、本書はそのような内容(「肖像」というイメージ)を求める方には不向きな本といえます。

実際、この手の本は、読み手の知識と興味に左右されますから、
「ドイツ軍の名将」というキーワードに反応する、全ての人を満足させることは不可能です。
人によっては「日本人向けの軍人名鑑なんだから、アイウエオ順で紹介せんかい!」とか
「300人も名将なんていないんだから、67人位に絞って、一人一人をもっと詳しく!」とか
「全員の写真を載せろ!」や「お決まりのポートレートじゃない珍しい写真を!」とか
ちょっと妄想してみただけでも、いろいろな意見が想像出来ます。。

Field Marshall Walter Model visits the 246 Volksgrenadier Division Oct 1944.jpg

著者のあとがきでは、「一冊通して読むことで、ドイツ軍の組織、戦争序盤の優位と
中盤以降の変化という興亡を従来とは別の視点で再認識できることも目的として
取り組んだ」と書かれています。

確かに個々の将官の紹介では彼らが戦い、率いた部隊の戦役が時系列に、
かつ、その作戦名(「白の場合」、「バルバロッサの場合」など)も統一されて
出てくることで、著者の狙いは良く伝わってくるものです。

この点で言えば、あくまで個々の内容というより、構成の問題となりますが、
最初に書いたような、知名度や戦功でグループ分けされたアルファベット順の紹介ではなく、
1939年の開戦から1945年の終戦にかけた時系列の戦役で、主に名を残した将官順・・
例えば、ブラウヒッチュとハルダーといったOKHの2人と、
ボックとルントシュテットのポーランド戦の軍集団司令官の2人から始まり、
グデーリアンやロンメル、ガーランド、デーニッツなどの攻勢期の名将たち、そして
ハイリーチやヴェンク、シェルナーなどの最終戦で活躍した将官で終わる・・
という順番のほうが、著者の意図を達成しやすかったのでは・・と思います。

Rommel with Johannes Blaskowitz and von Rundstedt.jpg

特に本書の登場順は、「掴みは良い」としても、意味のあるものとは思えませんし、
陸軍以外がオマケ的な位置づけのように感じる以上、
3軍と武装親衛隊に分ける必要性もあまり感じません。

そうは言っても、このようなことは副次的な問題で、個人的には「昇進履歴」と「役職」、
「受勲」といった情報と、様々な本を読破中に気になった将軍を調べるときに
一番役に立ちそうな、「ドイツ語名」が書かれていることで、
中間的な参考資料としてもなかなか重宝しそうな一冊です。
本来、読破完了した本は、我が家の「独破済本棚」に収容されるんですが、
本書は、すぐに手の届く場所に置いておくことになりそうですね。

von Kluge_Himmler_Donitz_Keitel.jpg

シリーズとして将官ではない、佐官や尉官ものも出して欲しい気もしますが、
しょうもない悪人や無能軍人を集めたような「第三帝国の悪人たち」みたいな
本が出たら楽しいですけどね。。。



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