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ドイツ参謀本部興亡史 [ドイツ陸軍]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ヴァルター ・ゲルリッツ著の「ドイツ参謀本部興亡史」を読破しました。

19世紀初頭のプロイセン王国時代に誕生した、世界に名だたるドイツ参謀本部。
その創設から第一次世界大戦、ワイマール共和国、そして第三帝国崩壊までを
時代ごとに、歴代の参謀総長を中心として解説したものです。

ドイツ参謀本部興亡史.JPG

上巻はほとんど戦艦としての名前でしか知らなかった2人の始祖、
シャルンホルストとグナイゼナウから始まります。
そしてこれまた戦記では良く登場する「戦争論」のクラウゼヴィッツや
大モルトケ。同じく「シェリーフェン・プラン」で有名なシェリーフェンなどが
当時の皇帝やその時代背景、さらには人格までを分析して
参謀本部が強大な勢力として確立していく様が描かれます。

Alfred_Graf_von_Schliefen.jpg

と、ここまで読んだのが実は半年前のこと・・。
いや~、いくら勉強とは言え、やっぱりプロイセンそのものの歴史を知らないので
キツカッタです。4ページも読めば睡魔が襲ってきて・・。
「図説 プロイセンの歴史」でも買って、まずはここら辺りを勉強するか・・
と思いつつ、早い話が挫折していました。。

ようやく先日、この止まっていた上巻の真ん中から再チャレンジを始めました。
ちょうどここからは第一次世界大戦に向けて小モルトケとファルケンハイン、
そしてヒンデンブルクとルーデンドルフによって大戦が終結するまでを
今度は結構楽しみながら、読破しました。
これは読み進むにしたがって、知っている話や人物が増えてくることに
比例していますね。

いよいよ下巻へ突入。
第一次大戦の敗戦によって参謀本部は廃止され、ワイマール共和国の10万人軍隊を
ゼークトが率いることになり、それと平行してヒトラーが台頭してきます。

seeckt with hitler.jpg

「隊務局」という名に姿を変えて生き続ける参謀本部は、
かつてのプロイセン貴族やユンカーからブルジョア中心となっていますが、
その理由も貴族が共和国に仕えるのを嫌がったことが要因の一つだったようです。

ナチス政権になるとブロムベルクやフリッチュのスキャンダルが・・。
何度も読んだことのあるこの話は特に他の本と違うことはありませんが、
この参謀本部中心の本書では、読んでいてとても重大な危機に感じさせます。

Keitel, v.Rundstedt, v.Bock, Göring, Hitler, v. Brauchitsch, v.Leeb, List, v.Kluge, v.Witzleben, Reichenau.jpg

またこの頃、完全復活を遂げた参謀本部の内部構成や
新設の国防軍統帥局との関係が詳細に書かれていて、大変タメになりました。
上層部は砲兵科出身の将軍で占められていたという話や
特に参謀本部第1部長がいわゆる参謀次長であり、
1935年当時はその第1部長だったのがフォン・マンシュタインで、
第2部長がハルダーだったという話。
そして参謀総長のルートヴィヒ・ベックが辞任した際にはすでに
マンシュタインではなく第1部長はハルダーだったということもなにか
運命的なものを感じますね。
ちなみに第4部長はシュテルプナーゲルです。すごい面子揃ってます。

Ludwig Beck1.JPG

一方の国防軍統帥局でも局長となるヨードル
国防軍最高司令部(OKW)総長のカイテルも彼らの立場と責任を明確にしていて、
第2次大戦に向かって行くなかでの陸軍総司令部(OKH)との対立や
このような上位の将軍たち個人個人の確執を知ることが出来ました。
まるで、殿であるヒトラーが御乱心した際の大奥みたいな感じです。

Keitel Brauchitsch halder hitler.jpg

第2次大戦勃発後は、参謀総長のハルダーと陸軍総司令官ブラウヒッチュが中心です。
やがてスターリングラードで降伏するパウルスが次長だったり、
そのパウルスがヒトラーに評価されていたことからヨードルの後任に目されていたり
という地味ながらも興味深い話が続き、
解任されたハルダーに代わってツァイツラーが登場してくると
再びマンシュタインも参謀本部最後の頭脳として、東部戦線の危機を救います。

Hitler,Heusinger, Friedrich Paulus und Georg von Sodenstern.jpg

最後はシュタウフェンベルクトレスコウを中心としたヒトラー暗殺計画です。
彼らも当然、生え抜きの参謀であり、また貴族でもあったことから
この事件について焦点を当てています。

von Stauffenberg7.jpg

この1944年7月20日以後、参謀総長に就任したのは
参謀経験のまったく無い「戦車おやじ」グデーリアン
とは言っても著者はグデーリアンの参謀としての能力を云々しているわけではなく、
如何にヒトラーが参謀本部と参謀将校を信用しなくなったのかということであって、
事実上、歴史ある参謀本部はこの時点で崩壊したという印象を受けました。
それは最後の参謀総長であるクレープスの登場シーンが最後のページでたった1行、
「自決した」だけであることからも伺えます。

guderian7.jpg

150年に渡るドイツ参謀本部の歴史ですが、
個人的には1930年代の平時の部分が一番楽しめました。
時期的に地味で書かれたものが少ないからかも知れません。
なお、著者は有名な元帥伝を三冊書いています。
「パウルス伝-本官は命令によりここにとどまる」
「カイテル-軍人か犯罪者か」
「防御の戦略-モーデル元帥伝」
凄いですねぇ!翻訳してもらえないかなぁ・・。







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アンペル

この上下巻、半月ほど前に読了しましたが、私もヴィトゲンシュタインさんと同じで、
30年代あたり、あるいは20年代後半のゼークトなんかが一番楽しめました。
開戦後の本はたくさんあるし、色んな視点でのを幾らかは読んでいるので、それよりは
参謀本部に特化して(SAとかSSとかは控えめで)その内部でも大きな事件が
ないように見えて色々苦労が多いんだという歴代総長・隊務局長の愚痴が聞こえてきそうでした。
パウルス伝くらいは翻訳してくれてもよさそうなのに…残念です。
by アンペル (2010-05-23 16:09) 

ヴィトゲンシュタイン

アンペルさん、こんばんわ。
そうですね。本書は「特化して」というのがポイントでしょうね。
自分も最近は特定の組織モノとか、悪人モノなんかに興味があります。
SSモノはたくさんありますが、「SAモノ」なんてあれば読んでみたいですねぇ。
パウルスはなんだかんだと生き残ったので、どんな内容なのかも(戦後の証言があるのか等)非常に興味深いです。「スターリングラード」でも書きましたが、包囲陣での各将軍たちのやり取りが書かれた物は、未だに出会えませんし・・。
by ヴィトゲンシュタイン (2010-05-23 22:50) 

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