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ナチス親衛隊 [SS/ゲシュタポ]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ゲリー・S・グレーバー著の「ナチス親衛隊」を読破しました。

独破戦線でもこの「親衛隊」モノはグイド・クノップの「ヒトラーの親衛隊」などを
紹介していますが、原題の「History of the SS」のとおり、親衛隊の創設から、
その終焉までを ハインリッヒ・ヒムラーの生涯を中心にして解説した一冊です。

ナチス親衛隊.JPG

まずはヒムラーの生い立ちからですが、特に目新しい話は残念ながらありません。
戦争に憧れていたものの、士官候補生の時に第一次大戦は終結してしまい、
大学で農学を学び、1923年ナチ党へ入党すると
エルンスト・レームやグレゴール・シュトラッサーのもとで働くようになります。

教師であった父親の影響も強かったようで、
その後のヒトラーに盲目的に服従する人間性や、
結婚相手のマルガレーテも8歳年上であることなど、
本書ではハッキリとは書いていませんが、かなりのファザコンという印象を受けます。

Himmler02.jpg

そしてその「真面目な小物」ぶりが大いに認められて「SS全国指導者代理」という
肩書きを頂戴することになりますが、当時、親衛隊員は280名というもの。
しかし、ナチ党の躍進とともにベルリンのライバル、クルト・ダリューゲも抱き込み
ゲーリングからはゲシュタポを任され、やがて「長いナイフの夜」、SAの粛清へと
進んで行き、その地位を確立することになります。

1933_ Daluege, Himmler y Röhm.jpg

ここからは戦争に向けて拡大していく親衛隊の様子が描かれますが
武装SSについてはほんのちょっとの記述しかありません。
その分、ラインハルト・ハイドリヒの独壇場です。
この時期ヒムラーがSSの制服やバッチのデザイン、フリーメーソンやルーン文字
レーベンスボルンやら新隊員の顔写真の分析やらに途方もない時間を浪費している間に
ハイドリヒはSDやゲシュタポと警察機構を合体させた巨大迷路のような組織、
「国家保安本部」の長に君臨します。

heydrich99.jpg

このハイドリヒも特別に驚くような話は出てきませんが、
反ユダヤ主義暴動である「水晶の夜」事件に関する会議の議事録が掲載されていて
これはなかなか興味深く読めました。
会議の議長はゲーリングで、出席者はハイドリヒ、ダリューゲ、
フリックにゲッベルスというメンバーです。

本書ではハイドリヒを大変評価している感じを受けます。
ヒムラーとまったく正反対の彼がこの時期にSSを確固たるものにしたとも読み取れ、
このような人物がヒムラーのNo.2に甘んじていることはなかったハズだ・・として、
後任のカルテンブルンナーはヒムラーにとっては何物でもなく、
もし、彼が暗殺されなかったら、SSとナチスはどのようになって行ったのか・・。
やっぱりハイドリヒは興味が尽きないですね。

Himler_ Heydrich.jpg

また、SS経済管理本部長官オスヴァルト・ポール
SS本部長官ゴットロープ・ベルガー、その他オットー・オーレンドルフや
ヴァルター・シェレンベルク、テオドール・アイケといったSSの中核にいた人物たちも
それなりに登場してきます。
特にポールが強制収容所に出した命令、
「髪の毛は必ず集めること。女性の髪の毛はUボート乗組員の○○生産に使用する」
というのはなんとも言えない変な気持ちになります。。

Oswald Pohl_ Himmler.jpg

ユダヤ人問題については1943年の「ワルシャワ・ゲットー蜂起」の章が気になりました。
ユルゲン・シュトロープSS少将率いる鎮圧部隊がどのようにして
ゲットーを徹底的に破壊したのか。また、死を覚悟で最後まで抵抗した人々は・・。
これらは今まで詳細に書かれたものを読んだことがないので、
ぜひ、双方から客観的に書かれたものがあれば読んでみたいですね。
ご存知の方お願いします。

1943 in the ghetto of warsaw SS Major General Jürgen Stroop.jpg

やがてヒトラー暗殺未遂事件で結果的に得をしたヒムラーは、
遂に念願の夢が叶って兵士として軍集団司令官の地位を得ます。
これはボルマンによる策謀との話もありますが、
父親のように導いてくれていたヒトラーの思考のバランスが崩れてくるのと同時に
ヒムラーもやることなすこと裏目に出てきます。
陰で和平交渉を行っていた件についても、相手のベルナドッテ伯の回想録を引用して
そのやりとりを詳細に記述しています。

Hitler and Himmler.jpg

最後にはヒムラーの死と埋葬の様子もかなり詳しく書かれています。
著者は全体的に極力感情を抑え、
「なぜこのような優柔不断で才気に貧しい退屈な男が極悪非道の組織のトップに君臨し得たのか」
ということを解明しようとはしていますが、さすがに無理なようです。
武装SSやその他のSS機関と人物を含め、やはりこのナチス親衛隊という組織を解明するには
時代ごと、部門ごとにもっと詳細に検証するしかないのでしょうね。
それが本として成立するかどうかは別ですが・・。



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コメント 4

竜

ヴィトゲンシュタイン様の書評を関連書籍を購入する際には
よく参考にしております。質問ですがブログ上に掲載されている当時の画像はどのサイトから入手されたものでしょうか?
by 竜 (2010-02-19 21:23) 

ヴィトゲンシュタイン

ど~も。コメントありがとうございます。
こんなレビューを参考にしてもらえているとは実に嬉しいです。
画像は自分でデジカメで撮ったり、以前に知り合いのネオナチに大量に戴いてたりと、特に何処というものではありません。。
by ヴィトゲンシュタイン (2010-02-20 00:00) 

クルト

初めまして

「髪の毛は必ず集めること。女性の髪の毛はUボート乗組員の○○生産に使用する」<これはファーザーランドでもネタにされてましたね
真実を見た元Uボートクルーの主人公は・・・・
by クルト (2015-06-18 19:22) 

ヴィトゲンシュタイン

ど~も、クルトさん。初めまして。

>ファーザーランドでもネタにされて
あ~、スッカリ覚えていません。どちらも読んだのが結構前ですから・・と言い訳しつつ、ちょっと再読したくなりました。
by ヴィトゲンシュタイン (2015-06-18 20:06) 

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