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ナチス第三帝国の崩壊 -スターリングラードからベルリンへ- [ロシア]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ワシリー・I.チュイコフ著の「ナチス第三帝国の崩壊」を読破しました。

チュイコフといえばスターリングラードを防衛したことで有名なソ連の将軍です。
その回想録が35年前に日本で発刊されていたというのもビックリしましたが、
スターリングラードの戦いの回想は別にあると序文に書かれていたのを読んで
さらにビックリしました。
副題の「スターリングラードからベルリンへ」に惹かれたのですが
この回想録は1944年6月からのベルリンへの戦い、
いわゆる「バグラチオン作戦」に特化したものです。

第三帝国の崩壊.JPG

当時の第2次大戦の軍人の回想録というのは、敗れたドイツを含め、
西側諸国から発表されたものがほとんどで、ソ連側の純粋なものというのは非常に稀なようです。
チュイコフは特にグデーリアンの回想録を引き合いに出して、結構こき下ろしています。

General Vasily Chuikov and soldiers.jpg

スターリングラードを防衛したチュイコフの第62軍は、その功績から「第8親衛軍」と改名され
ロコソフスキー元帥率いる「第1白ロシア方面軍」の先鋒として大攻勢に挑みます。
このロコソフスキーに対しては、上官であるものの親友ともいえるような感覚を持っているようで
非常に立派な軍人であるとして高く評価しています。

Konstantin Rokossowsky.jpg

ポーランドへ順調に進軍したチュイコフはナチ/ドイツ軍の残忍ぶりを語ります。
一般市民に対するものや、特にポズナニやキュストリン要塞攻略戦では
ドイツ守備隊は降伏した自軍の兵を後ろから銃殺したりと、多数の例を挙げ、
赤軍のマズい行為には一切触れず、降伏の勧告など人道的な雰囲気を強調しています。

Kuestrin.jpg

ロコソフスキーが「第2白ロシア方面軍」へと転出され、ジューコフ元帥が後任となりますが
この政治的な人事についても述べています。
ジューコフに作戦の説明をする様子も具体的で、
当初「まったく理解できん!」とするジューコフを結局納得させるくだりは、
自身の戦術に対する自信とジューコフに対する思いが見え隠れします。

Soviet_artillery_firing_on_berlin_april_1945.jpg

案の定、ゼーロウ高地ではジューコフ考案の有名な探照燈がまったくの役立たずであったとして
その時の大混乱ぶりも皮肉めいた語り口で紹介しています。
この本の帯に書かれているようにチュイコフが「ロシアのロンメル」と呼ばれているというのは
初めて知りました。
戦車部隊を中心に自ら部隊の先頭近くで攻撃を指揮するスタイルがその所以のようですが・・。

soviet_tanks_berlin1945.jpg

そしてベルリン攻略ではその中心であるティアガルテン地区の戦闘の様子を
様々な中隊レベルの戦記として記述しており
ある意味、市街戦のスペシャリストであるチュイコフはこのような戦いにおいては、
軍団や軍といったレベルがどうこう出来るものではないと考えていて、
局地での英雄的な行為の積み重ねによって達成されるものということのようです。

一列になって市内へ突入した戦車隊が、ことごとくパンツァーファウストの餌食になったという話や
ドイツの重戦車を如何に攻略したかというエピソードも、その市街戦の戦術を理解するうえでも
貴重な内容に感じました。

Panther tank half buried in defensive position.jpg

最後には参謀総長のクレープス将軍が休戦を申し入れて来る有名なシーンが登場します。
前日に自殺したヒトラーの話から切り出したクレープスに対し、
「それは我々も知っている」と平然とハッタリをかましたチュイコフは
その時の心境と交渉戦術を詳細に語ります。

自分はただの特使であり、首相となったゲッベルスと党の責任者ボルマン、
さらにヒトラーの後継者に任命された連絡のつかないデーニッツに聞かなければ・・
とするクレープスとの会談は12時間にもおよび、
「即時の全面降伏しか認めない」チュイコフと「まず休戦して、新政府を発足させ、
その後に降伏交渉に入りたい」とするクレープスの話は平行線のまま終了します。

Hans Krebs, negotiations in the soviet HQ in Berlin.jpg

ゲーリングの所在や裏切り者となったヒムラーが西側連合軍と和平交渉をしている
という情報も状況を複雑にさせ、チュイコフは逐一、ジューコフと電話で相談。
そのジューコフもモスクワへ報告・・と、とても緊張感に溢れた駆け引きの連続で、
その直後、総統官邸でのゲッベルスとクレープスの自殺の報がもたらされ
ベルリン防衛の責任者であったヴァイトリング将軍の降伏、
しかしズタズタの連絡網と彼の指揮下に無いとする武装SS部隊の抵抗など
「ヒトラー/最後の12日間」の後日談的場面ですが
ベルリンで銃声が止むまでの過程は様々なドラマが展開されています。

Helmuth Weidling directly after the surrender of Berlin 1945.jpg

正直、このヒトラー死後の数日だけで一冊の本、
或いは一本の映画が撮れるのではないでしょうか?
ここにはそれほどの面白さがあると感じました。

「ジューコフ元帥回想録 革命★大戦★平和」も購入しました。
しかし、こちらは500頁オーバーの大著なので暫くは本棚に寝かせて置くことになりそうですね。



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